バスターで入っちゃった。ロッテ清田育宏外野手(29)は決勝2ランを放ったのに、笑顔は控えめ。「たまたまホームランになりました」と、なぜかばつが悪そうに言った。

 同点に追いつかれた直後の7回だ。先頭中村が出塁し無死一塁。続く清田へのサインは送りバントだった。巨人マイコラスに対しバットを寝かせたが、初球は高く外れた。その時に見逃さなかった。「内野のチャージが強かった。冷静に守備位置を確認したら、三塁がアンツーカーより前」。サインには続きがあった。「チャージしてきたら打て」だ。2球目。狙い通りだった。「初球がボール。次はストライクを取りに来る」。真ん中のボールを思い切り振った。ただし「三塁の頭をワンバウンドで越してくれれば」と願ったら、打球はぐんぐん浮上。左中間席中段へ飛び込んだ。

 試合前の練習でもバスターを取り入れている。それだけに「大事な場面でできるように練習していたのに…。練習通りできなかった」と反省した。ただ、収穫もあった。ここ最近、打撃にやや不調を感じていたが「バスターでイメージがつかめました。明日からやっていきたい」。社会人時代はコンパクトに振るため、バスターで打っていた時もある。想定外の1発が、基本に立ち返らせてくれた。【古川真弥】