ソフトバンクが延長戦で楽天を下し7連勝を飾った。日本ハムも敗れ、優勝マジックは2と減った。4回まで毎回の5得点を挙げ、10試合連続5得点以上。9回に同点に追いつかれる後逸(記録は三塁打)をした外野手の福田秀平(26)が延長10回、決勝の2点三塁打を放った。最短で明日15日オリックス戦(京セラドーム大阪)にも就任1年目の工藤公康監督(52)が宙に舞う。

 途中出場の福田が無我夢中でバットを振った。打球はセンターの頭上を越す。全力疾走で三塁ベースを踏んだ。延長10回に楽天を再び突き放す決勝の2点三塁打。「打ててよかった…」。その直前まで、胸の内は反省の気持ちで充満していた。

 9回裏に牧田の右翼ライナーを後逸。照明が目に入ったことが原因で、同点の三塁打にしてしまう。「全く(打球が)見えなかった。でも、それは言い訳になる。何が何でも、体に当てないといけなかった」。しかし打席で引きずることはなかった。反骨の一打が工藤ホークスの強さを表していた。

 就任以来、指揮官は失敗を恐れない気持ちをナインに求めてきた。「失敗しない人間はいない。失敗したら、練習すれば、いいだけ」。この考え方は、前向きな選手が多いチームにぴたりとハマった。この日の試合前練習では、五十嵐が鳥越守備走塁コーチと送球練習を繰り返していた。6日の楽天戦で失点につながる悪送球をした経緯があった。向上心がチームの原動力だった。工藤監督は福田の一打をたたえた。「ああいう状況で、強く打つのは難しい。勇気を出せば、結果につながる。(後逸は)照明が目に入ったからで、おれは悪いと思っていない」。積極的な姿勢を喜んだ。

 7連勝でカウントダウンを進め、打線は10戦連続で5得点以上。ただ打つに任せず、4回には川島がセーフティースクイズを成功。1点を取るために、チームが1つの方向を向いている。これで明日15日のオリックス戦でのリーグ連覇が見えた。近づく歓喜の瞬間にも、指揮官は冷静だった。「相手もある。勝ち負けで多少、ズレることもある。その試合で、勝つことを見に来るファンもいる。いい試合を見せるのは、大事な仕事だと思っている」。苦手と言われた9月は9勝2敗。優勝を阻むものは何もない。さあ、大阪で工藤監督が宙に舞う。【田口真一郎】

 ▼ソフトバンクのマジックが2に減った。最短優勝は15日オリックス戦になるが、ソフトバンクは5日楽天戦から7連勝中。8連勝以上でリーグ優勝を決めたのは99年9月30日中日(8連勝)が最後で、ソフトバンクが16年ぶりの大型連勝ゴールを目指す。