ボールに魂を込めた。7月28日オリックス戦以来の1軍マウンドとなった日本ハム鍵谷陽平投手(25)が、9回の1イニングを1安打無失点。直後のサヨナラ勝ちを呼び込み、3勝目を手にした。「しっかりと抑えられて勝ちがついたことは良かったです。ファームでやってきたことを信じて投げました」。ソフトバンク打線を抑え、CSへ向けてもアピールになった。

 気迫が、投球に乗り移った。9回2死一塁。柳田を迎え、闘争心が体中からほとばしった。初球、内角の146キロ速球で、腰を引かせた。「狙い通り。いくとこはいく」。直球を続け、最後はフォークで中飛に打ち取った。1球目の時点で勝負は決していた。

 優勝を逃し、2位が確定した。シーズン序盤は欠かせない存在だった鍵谷の姿は、その場になかった。7月末に不振で抹消され、2カ月間チームを離れた。「早く自分の調子を戻して、チームに貢献したいと思っていました」。勝敗はテレビやインターネットでチェックしていたが、それよりも自分のことで必死だった。生命線は力強い速球と落差のあるフォーク。「そこを重点的にやってきました」。この日の最速は150キロ。球威のある直球とフォークで、3つのアウトを奪った。

 残りは9試合。その先に、昨季は5試合に投げ、失点わずかに「1」と活躍したCSが控えている。「CSに向けてというのもある。しっかりと続けていきたいです」。頼もしい仲間が、厚いブルペンに帰ってきた。【本間翼】