阪神和田豊監督(53)が退任の危機に立たされた。巨人に敵地で連敗し、首位ヤクルトと4ゲーム、2位巨人にも2ゲーム差に突き放された。残り8試合での逆転優勝は限りなく厳しい状況となった。球団幹部によれば、首脳が描く続投の目安は「優勝争い」。それが遠のいた場合、シーズン終了を待たずに進退について電鉄本社、球団の両首脳が話し合う構えだという。

 大混戦となった今シーズン、9月に入っても首位に立つ戦いを繰り広げてきた和田監督について、球団はその手腕を評価してきた。1年契約で退路を断って戦う指揮官に対し、球団フロントも覚悟を固めて続投を視野に全面バックアップする方針を打ち出してきた。

 ただ、勝負どころの9月半ばにきて、ヤクルト、巨人という優勝を争うライバルに敗れた。一昨年2位、昨年も日本シリーズに進出したものの、2位だった。3年連続で繰り返される正念場での失速。関係者によれば、電鉄本社首脳も堅実なチームづくりを評価しながらも、肝心のところで勝負弱さを露呈する弱点を危惧しているという。優勝しきれないことによる“マンネリ化”も懸念しており、和田監督退任、新監督就任という選択肢は持っているという。

 球団首脳はここまでに、和田監督続投の目安について「優勝争い」を挙げている。順位という結果だけでなく内容を問うというもの。ただ、現状では優勝はほぼ絶望的な4ゲーム差。2位巨人にも2ゲーム差をつけられた。今後、よほどの勢いで連勝しない限り、3位争いを余儀なくされる。

 監督任命権を持つ坂井オーナーはペナントレースが終了するまで見守る姿勢を貫いている。球団トップの南社長も順位が決まるまで動かない姿勢を示している。ただ、球団関係者は「勝負どころにきて連勝や連敗があれば、監督について話し合うこともあるだろ」と話していた。

 この日、東京都内のチーム宿舎で中村GMが急死したこともあり、球団は当面喪に服す。ただ、ペナントレースの行方は容赦なく進み、待ったなしの状況だ。優勝争いからほぼ脱落した今、監督交代を視野に入れた動きが出てくる可能性は高そうだ。

 ▼阪神は今季の巨人戦で16敗目(8勝)。同カードでは、00年に18敗(9勝)して以来、15年ぶり。なお巨人戦の年間ワーストは、63年の21敗(7勝)。

 ▼阪神は自力2位の可能性も消滅した。残り8試合に全勝しても、75勝66敗2分けで勝率5割3分2厘。巨人は阪神との残り1試合に敗れても、他カード6試合に全勝すれば76勝66敗1分けで5割3分5厘となり、阪神を上回るため。なお1位ヤクルトを自力で逆転する可能性(自力優勝)は、21日に消えている。