自分でマウンドまで運転しちゃう!? ロッテのドラフト6位、宮崎梅田学園・信楽晃史投手(23)が30日、宮崎市内の職場である自動車教習所で指名あいさつを受けた。教習所の教官という異色の右腕が、同社初のプロ野球選手になる。運転技術は折り紙付き。先発として期待されるが、リリーフ登板の際には自らリリーフカーを運転するかも?

 梅田学園日ノ出校。宮崎空港からほど近い自動車教習所が、信楽の職場だ。永野チーフスカウトが「聞いたことない」と言うように、教習所での指名あいさつは、恐らく史上初めて。信楽は「やっと実感が湧きました」と笑みをこぼした。

 毎日午前9時から4時間の練習を終えると、午後は教官に様変わり。5時から約4時間、教習車の助手席だけでなく、学科で教壇に立つこともある。丁寧な指導で生徒の人気は高い。そんな信楽は、もちろん車好き。スカウトには「先発で」と期待されたが、「中継ぎでも、抑えでも。周りから『自分でリリーフカーを運転したら』と言われてます。面白いかな」と明るく言った。QVCマリンのリリーフカーがドイツ車のアウディと聞くと「アウディ、大好きです!」と即答。マイカーは国産車だが、プロで活躍したらアウディ購入を考えるとも言った。

 さわやかに冗談も口にするが、福岡大では伸び悩んだ。野球をやめる可能性もあった当時、地元の宮崎で教習所やホテルを経営する梅田学園の野球部に巡り合った。入社して、教官免許も取得。再び野球と向き合い、開花した。武器である落差のあるツーシームを自分で習得。「どうしたら変化するか、研究しました」。教えるのが仕事だ。「たくさんの方と接する。感覚は人によって違う。見る目が養われました」。見て、考え、伝える。その日々は野球に役立っている。

 創部10年目で同社から初のプロ野球選手が誕生する。「会社のおかげ。投球に関してはスピード違反はないので、頑張っていきます!」と、最速147キロ右腕は宣言した。【古川真弥】

 ◆信楽晃史(しがらき・あきふみ)1991年(平3)12月26日生まれ。180センチ、84キロ。右投げ右打ち。しなやかな右腕から放たれる速球が武器。都市対抗ではJR九州の補強に選ばれた。大学の同期に阪神梅野。50メートル走6秒5、遠投111メートル。家族は父、母、兄、弟。