“プチ則本”が先発ローテを目指す。楽天古川侑利投手(20)が3日、岡山・倉敷市内で行われている秋季キャンプで連日のブルペン入り。前日の150球に続き、この日も150球の熱投を見せた。2年目の今季はフォームが変化。躍動感あふれる姿はエース格の則本にそっくりだ。球速もプロ入り後5キロ上がり、最速153キロを記録するなど伸び盛り。秋に鍛え、来春の1軍入りを勝ち取る。

 見まがうほど、似ていた。楽天古川が直球を投じるたびにミットの衝撃音が響く。手のひらが痛むような重低音。まるで則本のようだった。静止状態からグラブをスッと顔の前に上げる。連動して左ひざを腰に巻き付けるようにひねり、軸足に体重をためる。次の瞬間、力を爆発させるように思い切り腕を振りぬいた。「目指す選手像は則本さんですけど、そんなに似ていますか? うれしいですね。則本さんの動画は見て、研究してます」。憧れがフォームに乗り移っていた。

 “則本化”しているといっても過言ではない。振り上げた足を下ろす独特のリズム、力強い腕の振りはうり二つだ。森山投手コーチも「確かに似ている。足をつくタイミングとかね。球の力強さもあるし」と太鼓判を押した。身長も同じ178センチで、体重もわずか数キロしか変わらない。体の強さも抜群で「あいつは基礎体力ではトップレベル。キツイ練習でもついて来られるから、いじめがいがあるよ」(森山コーチ)と14年に9完投を記録した則本のようにタフだ。

 自然とたどり着いた姿だった。太ももは競輪選手のように太く、スクワットでは130キロの重さも上げられるほどの筋力がある。今季は右肘、右肩痛に苦しんだ。それが良い方向に変わった。下半身の力をボールに伝えられるように意識し、躍動感あふれるフォームに変わった。「最速は153キロまで伸びました」と成長の手応えを口にする。

 ブルペンに視察に訪れた梨田監督も「今日は古川が良かったね。2年目? 面白いな」と絶賛。鍛え上げれば、来春の1軍入りも夢ではない。2日間で投げ込んだ球数は合計300球。古川は言う。「まだ投げる体力が足りないです。6、7回で球が上ずる。強い真っすぐを低く投げられ続けないと。先発ローテに食い込むつもりでやります」。課題克服へ、自らを追い込む秋にする。【島根純】