西武からドラフト2位指名を受けた北海学園大の川越誠司投手(22=北海)が16日、札幌プリンスホテルで契約金7000万円、年俸1200万円で仮契約を結んだ。背番号は、抑えとしてプロ19年で通算755試合に登板した鹿取義隆氏(58=侍ジャパン投手コーチ)が西武時代に背負った「26」。148キロの直球とナックルカーブを武器に、西武のリリーフ陣に食い込む。(金額は推定)

 球団からの想像以上の大きな評価に、自然と川越の背筋が伸びた。「もっと大きな番号だと思っていました。いい評価をしていただいたので恥じない選手になりたい」と、引き締まった表情で言った。高校時代から川越の成長を観察してきた西武水沢スカウトは「身体能力が素晴らしく気持ちの強さもある。(試合の)中から後ろを任せたい」と期待を込めた。

 巨人、西武で通算755試合に登板、91勝131セーブを挙げ「鹿取大明神」と呼ばれた右腕・鹿取が、西武時代につけていた26番を背負う。「右と左の違いはありますが、鉄人だった鹿取さんのような息の長い選手になってほしい」と水沢スカウトは、成長を心待ちにする。

 川越自身もプロにふさわしい肉体を作るための投資を続けてきた。高品質のプロテインやサプリメントを購入するため、大学2年から月3万円の奨学金を借りた。4年になると「サプリメントの種類が増えたため」(川越)8万円に増額。筋肉だけで体重が今春の78キロから83キロに増えた。「腰のあたりが太くなった」と胸を張った。

 50メートル5秒9の足と4番を打つ長打力も兼ね備えることから「キャンプでは守備や打撃担当のコーチも黙っていないはず。そこだけが心配」と水沢スカウトは苦笑いするが、これも将来性の裏返し。「今は投手の練習しかしていません。キャンプで力を見せて、ソフトバンクの柳田さんと対戦してみたい」。148キロの速いボールと、左打者の肩口から鋭く落ちるナックルカーブで「川越大明神」襲名を目指す。【中島洋尚】

 ◆鹿取義隆(かとり・よしたか)1957年(昭32)3月10日、高知県生まれ。明大から78年にドラフト外で巨人入団。入団当初は先発、中継ぎ、抑えのすべてを任されたが、84年ごろから中継ぎ、抑えに定着。87年には63試合で防御率1・90と抜群の安定感を残し「鹿取大明神」と呼ばれた。90年に西武移籍。初年度にリーグ最多24セーブを記録、ファイアマン賞に輝いている。現役通算755試合91勝46敗131セーブ。5282打者と対戦し、防御率は2・76だった。右サイドスロー。現在は侍ジャパンの投手コーチとして世界野球WBSCプレミア12に臨んでいる。