勝利まで、アウト２つが遠かった。２年ぶり出場の道都大が上武大（関東５連盟第２）に逆転負け。前身の北海道産業短大時代を含め、５度目の挑戦での初勝利は幻に終わった。

　わずか１点のリードで迎えた９回の守り。力投を続けていた先発の３年生右腕、黒川雄太朗（館山総合）は「気持ちが先走って、余裕がなかった」と、三振で１死後、続く打者にフルカウントから中前打され、さらに盗塁と四球で一、二塁に。抑えのエース川又直樹（４年＝北見柏陽）にマウンドを譲ったが、その川又が制球を乱し、三塁線を破る二塁打と暴投で、勝ち越しを許してしまった。逃げていった白星に、山本文博監督（５９）は「監督が下手でね。土俵際でうっちゃりを食らった感じ」と悔しがった。

　勝ち上がれば連戦となる中、エース左腕、金沢一希（４年＝旭川龍谷）を温存。来季への希望は、９回途中まで無失点と踏ん張った黒川のマウンド度胸だ。高３時には夏の千葉大会で３戦連続完封するなど、無名の高校の１６強入りに貢献した。終盤に１４０キロ台中盤の直球で押し込む気の強さ。プロもマークする右腕は「直球の切れを磨いて、また春にここで違ったものを見せられるよう頑張りたい」と、真っすぐに前を見つめた。【中島宙恵】