広島前田健太投手(27)が4日、かねて希望していたポスティング制度を利用した大リーグ挑戦を球団から容認された。この日、大阪市内での「ミズノ アドバイザリープロスタッフ会議」に出席後「必要としてもらえる球団であれば、どこにでも行きたい」などと心境を語った。球団は来週にも申請手続きに入る予定。譲渡金は上限2000万ドル(約24億円)に設定するとみられるが、争奪戦は必至だ。

 無数のフラッシュを浴びながら、前田は真っすぐ前を向いた。メジャーへの道が開けても、マウンド上と同じように冷静だった。感謝、不安、期待、高揚…。さまざまな感情を整理しながら、言葉を紡いだ。

 前田 今回球団から自分の夢を後押ししてもらったので、すごく感謝しています。やっとチャンスが来たなという気持ちです。

 「メジャーへ行きたい」。親しい人間に思いを明かしたのは、ダルビッシュ(レンジャーズ)が日本ハムからポスティング制度を利用した11年オフだった。前田は前年に沢村賞など投手部門のタイトルを総なめ。広島だけでなく、日本を代表する投手となっていた。

 13年は日本代表としてWBCに出場。名実ともに日本のエースとなり、その思いはより確かなものとなった。「今まで自分がチームで一番と思っていた。でも自分の未熟さを感じ、何か違うなと。もっともっと自分よりも上の選手がたくさんいる」。より高みを目指し、大リーグ挑戦を求めるのは自然な流れだった。

 まだ夢の扉をノックしたにすぎない。だが、もうすぐ開く。落札した米球団との交渉は、ダルビッシュや岩隈らと契約する大手エージェント会社「ワッサーマン・メディア・グループ」のアダム・カッツ氏とジョー・ウルフ氏の敏腕代理人が務めることが、前田のマネジメント事務所からこの日、正式に発表された。

 前田 まだ(移籍先が)正式に決まっていない。きちんと決まるまでは不安の方が大きい。自分を必要としてもらえる球団であれば、どこでも行きたい。

 前田は最後まで冷静に、扉の先にある自分の未来を見つめていた。「マエケン」から「MAEKEN」へ。憧れだった舞台が、戦いの場になるときがきた。【前原淳】

 ◆ポスティングシステム 海外FA権を取得する前の選手が、MLB球団に移籍できる制度。12年に失効状態となり、13年12月に新制度を締結。日本球団が譲渡金(上限2000万ドル=約24億円)を設定し、支払う意思があるすべての米球団が選手と30日間交渉できる。期間は11月1日から翌年2月1日。旧制度では譲渡金の上限がなく、交渉は最高額を示した1球団に限られた。現行制度での移籍例は田中(楽天→ヤンキース)のみ。今季はバーネット(ヤクルト)が譲渡金50万ドル(約6000万円)で申請している。