中日の4番候補ダヤン・ビシエド外野手(26=ホワイトソックス3A)が27日、トンネルを抜け出す1発を放った。第2打席だった。追い込まれてから、ど真ん中へのカーブを見逃さず、左翼へ先制ソロ。実戦で13打席ぶりにHランプをともした。「うれしかった。自然とそういう表現になってしまった。しっかりと捉えることができた。内からバットが出て、しっかりとコンタクトできたよ」。ダイヤモンドを1周してベンチに帰ってきた新助っ人は、満面の笑みで豪快なハイタッチを交わした。

 「アグレッシブなスイングが売りだけど、2ストライクになればスイングよりコンタクトを優先する」という。第3打席は三浦と相対し、再び追い込まれた。体勢を崩されたが、86キロのカーブを左前に運びマルチ安打を記録。もたつく外野手を見ると二塁へ激走。アウトにはなったが、ハッスルした。

 前日26日には志願のランチ特打を実施。加藤チーフ打撃兼野手総合コーチからポイントの位置と始動を早くすることを指摘されていた。さらに同コーチの「もうすぐ打ち出すよ。(安打を)2個打って、ニコッて(笑顔に)なるよ」という予言が的中。帰り際、首位打者2度の名球会コーチは「どん底に行きかけていたのが、光が見えてな。ポコーンと出てくるんじゃないか」とうなずいた。

 本人も復調への手応えがあるようだ。「いいコンタクトができれば、打球が飛んでいくなとは思っている」。竜の新主砲のエンジンが、いよいよかかってきた。【宮崎えり子】