堅守強肩に巧打を加えた「ポスト嶋」が、捕手出身の梨田監督をうならせた。楽天ドラフト6位の足立祐一捕手(26=パナソニック)が、西武戦に「9番・捕手」でフル出場。先発の則本ら5投手を好リードし、5回には俊足の西武木村文の二盗を阻止。3安打1打点とバットでも魅せ、梨田監督からは「嶋に次ぐ2、3番手に入ってきたね」と高評価を受けた。

 左手打撲で侍ジャパンを辞退した嶋がスタメンを外れ、巡ってきたチャンスを生かした。「同期が結果を出しているので、自分もという気持ちはありました」。妻と1歳の娘を大阪に残し、単身で仙台の独身寮入り。穏やかな表情の奥底では開幕1軍への決意が燃えたぎっていた。安打3本は全て左方向への強い打球。ストライクを全てスイングする確かな選球眼と、思い切りの良いスイングで「打てる捕手」を印象づけた。

 柔軟かつ大胆にリードした。5回1死二塁で打者は西武栗山。カウント3-2から内角を意識させ、最後は外のカーブで微動だにしない見逃し三振を奪った。「ベンチで古久保さんからアドバイスをもらったので、それを生かしました」。古久保バッテリーコーチは「もう少しインコースに突っ込んでいいと言った。キャッチングとブロッキングがうまく、肩も強い選手。あとは『これが足立』というリードを確立できれば」と将来への期待を隠さない。

 昨季の楽天は、6月に嶋が負傷離脱すると同時に順位を落とした。2、3番手捕手の戦力アップは2年連続最下位からの脱出には欠かせない要素となる。足立は「常に、嶋さんの次をという気持ちでやっています」。総合力にたける26歳のルーキーが、長年続いたチームの課題解消へ全力を尽くす。【松本岳志】