日本野球機構(NPB)調査委員会の大鶴基成委員長(61)は14日、都内で取材に応じ、巨人の選手が、自チームの公式戦の勝敗に絡んで現金のやりとりをしていた「声出し」は昨年の調査から把握していたが、野球協約違反には当たらないという見解を示した。

 選手が試合ごとに現金を出し合い、勝てば試合での円陣で「声出し」と呼ばれる発声を担当した選手が総取りするルールだという。大鶴委員長は「調査の結果、野球協約の177条1項6号に当たらないという判断をしています」と説明した。

 「前回の調査の記者会見の時にも説明しましたが、177条1項の趣旨から理解いただきたい。簡単な言葉で言うと八百長を禁止するための規定ですね。八百長という言葉は協約上は使ってなくて、敗退行為という言葉が使われている。要するに選手は、各球団で勝つために全力を尽くす。それをあえて敗退に結び付くような行為をすることを禁止する、防止するための規定です。6号もそういう趣旨で読まなくてはいけない。彼らがやっている声出しは私たちが当時聞いたところでは、その試合で勝った時は、声出し以外の円陣を組んだ人が1人5000円を出して、声出し役の人に払う。負けた時には、声出しをした人がその他のメンバーに1人1000円ずつ払う。そういう仕組みと聞いている。敗退行為につながる行為を防止するわけですから、例えば敗退すれば自分がもうかる、だから故意の敗退行為をすることになるが、敗退しても、もらえるのは1人あたり1000円。1人あたり1000円というお金をもらうために、敗退行為をするということを考えるプロ野球選手がいるとも考えられないし、少なくてもそういう行為が177条1項には当たらないだろう、そういう判断です」と話した。