日本ハム・レアードが、豪快な1発で虎を黙らせた。1点ビハインドの9回。無死一塁の絶好機で、レアードが勢いよく振った。藤川の134キロのフォークをすくい上げ、確信した。「完全に入ったと思ったよ」。逆転サヨナラ2ラン。本塁打後にすしを握る恒例のポーズで小躍りしながら、チームメートが待つ本塁へと突っ込んだ。

 予感はあった。試合前、報道陣の取材を受ける栗山監督に迫った。「ツーヒット、ツーヒット」。「フォーヒット」と注文する指揮官を遮り、自信満々に誓っていた。5回2死までチーム無安打と打ちあぐねていた阪神の先発岩貞から、左前へ初安打。7回の先頭でも左越え打でチャンスメークした。2本とも得点につながる価値ある一打だった。宣言以上の3安打と、本塁打キングの西武メヒアに1本差に迫る今季19号。月間12本塁打を残した5月のMVP男は、6月に入っても快調に打ち続けている。

 来日2年目。苦手だった納豆は「ビーンズ」と呼び「粘りある野球が出来るように」と、験を担ぐため克服した。やはり納豆が苦手な新外国人バースに、粘投出来るようにと白米にかけて食べる方法を伝授した。土壇場の1発は、まさに粘りのたまものだった。【田中彩友美】