金メダルパワーもらった。鳥谷に代わり遊撃で先発する阪神北條史也内野手(22)はリオ五輪のレスリング女子69キロ級、土性沙羅(21=至学館大)の金メダル獲得に刺激を受け遠征先の東京に移った。大の阪神ファンという土性が甲子園を見学した7月20日、北條とも記念撮影をした間柄。土性に負けない猛タックルで今日19日からの巨人3連戦でもチームを引っ張る。

 日本を大いに沸かした女子レスリングに北條もくぎ付けだった。金メダルラッシュの中でも、特に目を凝らしたのが、同世代でもある69キロ級の土性沙羅の試合。深夜のテレビ中継に、固唾(かたず)をのんだ。

 「準決まで(ライブで)見ましたよ。ルールが分からないので、実況を聞きながら」

 実は大の阪神ファンという土性が7月20日に甲子園を見学し、北條や高山と記念撮影した間柄でもあった。北條は「覚えていますよ。リストバンドをあげましたよ」。世界を相手に戦う同学年アスリートとの交流。劣勢もはね返して、最後に最も輝く金メダルをつかんだ土性の活躍に刺激を受けると、東京遠征の出発前、足は自然と甲子園の室内に向かった。淡々としながらも、どこか気合のみなぎる表情。きっと土性からパワーをもらったに違いない。

 3位DeNAとは3・5ゲーム差。巨人、DeNAと続く連戦で、追いつき、追い越せる可能性が十分にある。そして今や北條は、Aクラス浮上の鍵を握るといっても過言ではない存在となった。

 12日の中日戦から5戦連続で「1番遊撃」でスタメン出場。打率4割1分2厘で1本塁打と猛アピールしている。不振のキャプテン鳥谷に代わる遊撃での先発。17日広島戦では相手先発が右腕福井であるにもかかわらず、金本監督は「今、北條は外せないでしょう」と先発で起用した。

 もちろん、まだレギュラーをつかんだわけではなく、「もっと頑張らないといけないですね」とあらためて気合を入れた。土性の「金メダルパワー」を得た若き遊撃手が、ポジションをものにし、CS争いのチームをけん引する。【山川智之】