ソフトバンクが内川聖一外野手(34)、上林誠知外野手(21)の師弟コンビの活躍でロッテに逆転勝ちし、3年ぶりの開幕3連勝を飾った。師匠内川がチーム1号となる先制1号ソロを放つと、弟子の上林が7回に同点1号ソロ。4年目の成長株が打線の勢いを呼び、最後は内川が左中間へ勝ち越し2点適時二塁打を放って勝負を決めた。

 役者が違った。同点に追いついてなおも2死一、二塁。内川が代わったばかりの2番手大嶺祐の直球を左中間にはじき返した。決勝の勝ち越し二塁打。二塁ベース上でベンチに向かって両手を突き上げ喜んだ。

 「あそこで打てるか打てないかでチームにとっても大きな1打席になると思った。ベンチのみんなの気持ち、ファンの気持ちを借りて打たせてもらった」。お立ち台では、開幕3連勝をスタンドのファンと喜び合った。2回にはチーム1号となる先制1号ソロを左中間テラス席へ運ぶなど3打点。工藤監督も「さすが4番という仕事をしてくれた。あそこ(7回)での集中力はさすが」と最敬礼だった。

 お立ち台の隣には一緒に自主トレを行い、弟子としてかわいがる上林がいた。内川は「もっと笑え」と言わんばかりに上林のあごを触った。開幕からスタメンで出続け、7回に同点ソロを放った愛弟子。これに続けとばかりに、決勝打を放った師匠は「ああいうところで打ってくれてありがたかった。これで本人が勝手にやってくれると思う」と上林をほめた。

 昨年は広島鈴木を大ブレークさせた「内川塾」。今年は上林が続くかもしれない。レギュラーを狙う上林には、ティー打撃の大切さを教え込んだ。「緩く来る球なんだから、同じ場所にきちんと打ち返せ」。ティーネットに鋭く突き刺さった内川の打球はきれいに同じ場所へコロコロと戻り、打ち終わった球がきれいにそろっていた。ティー打撃はフリー打撃の準備ではない。1球1球考えて打つことが試合での打席につながると教え込んだ。3月の内川は「WBCで自分のことに精いっぱい」だったが、師匠不在でも、上林がしっかり開幕スタメンの座をつかんだことがうれしかった。

 内川は開幕3連戦で計5安打を放ち、通算2000安打まで残り99本とした。「まだ99本ある。これからもここで打ってほしいという場面で打ちたい」。WBCでは代打の切り札だったが、ソフトバンクでは今年も不動の4番として日本一奪回へ導く。【石橋隆雄】