楽天が藤田一也内野手(34)の活躍で開幕4連勝を飾った。4日、ホーム開幕戦でソフトバンクと対戦。開幕4戦目で今季初先発の藤田は、3回にチーム初安打で出塁し、2つの好走塁で先制のホームを踏む。守備でも先発則本を助けるプレーを連発し、攻守で勝利に貢献した。右足を痛めて開幕3連戦は控えに回っていたが、開幕を待ちわびた満員の地元ファンの前で、健在ぶりをアピールした。

 ちゅうちょせず、藤田はホームに突入した。3回2死三塁。ソフトバンク千賀のフォークがワンバウンドし、キャッチャーが右にはじく。藤田はスピードを緩めることなく、頭から滑り込み、ベースカバーに入った千賀のタッチをくぐりぬけた。

 「ちょっとでもはじけば行こうと思っていた。いいスタートが切れた」。直前には、右中間への飛球で二塁から三塁に進塁。逆モーションになる中堅柳田が捕球したスキを突く、頭脳的なタッチアップだった。「相手が千賀君なので、何とか先に点を取りたかった」。昨年2敗の難敵千賀から貴重な先制点を奪い、梨田監督から「あのヘッドスライディングでチームが乗っていけた」と絶賛された。

 3月25日、中日とのオープン戦(ナゴヤドーム)で自打球を右足に当てた。回復が遅れたこともあり、オリックスとの開幕3連戦はベンチスタート。二塁銀次、一塁は今江が入り、「代役」の今江は3戦7安打と大当たりした。しかし梨田監督はこの日、打撃絶好調の今江をベンチに置き、藤田を「8番二塁」で先発させた。藤田は「重いものが背中に乗っかっていた」と苦笑いする。

 3回、ソフトバンク本多の打席だった。一、二塁間のゴロに銀次がとびつき、はじいた打球が藤田のところへ。処理した藤田はベースカバーに入る則本の走る速さに合わせた絶妙の送球で、内野安打を防ぐ。すべての守備機会を完璧にこなし、「天然芝、エース則本だから守備を重視した」という梨田監督の期待に見事に応えた。

 プロ13年目。昨年からパーソナルトレーナーと契約し、体のケアとともにもう1度、体を鍛え直した。グラブも見直した。より確実性を求め、全体的に0・5ミリほど小さいものに替えた。「チームが勝ったことがうれしい」。地元では絶大な人気を誇るベテランが、攻守で09年以来の開幕4連勝に貢献した。【沢田啓太郎】