阪神ドラフト5位糸原健斗内野手(24=JX-ENEOS)が球史に残る記録を樹立した。2回2死一塁。ヤクルト原樹理の速球を見極めて四球で出塁し、チャンスを広げた。

 この出塁で10打席連続出塁。2リーグ制以降で、セ・リーグ新人最長記録となった。パ・リーグ新人を含めても、2人目という快挙だ。記録達成には「全然気にしてなかったです」と冷静に振り返った。

 ネクストバッターズサークルで待っている時だ。凡退してベンチに戻る中谷に、打ち取られた球種を質問。「スラ(スライダー)」と返答された。細かい準備の積み重ねが記録を作った。

 スタメンから代打、守備固めと、さまざまな起用の中で、出塁記録を打ち立てた。記録の10打席のうち、安打は3本しかないが、四球を選んでいるのは選球眼とともに、あらゆる場面を想定した準備ができているから。さらに打率は1割9分1厘だが、出塁率は3割8分7厘。ヒットは出なくても、出塁で存在感を示している。

 「あまり結果をほしがらず、チームのために結果を出したい」。5回の第2打席は右飛で記録はストップ。9回は最後の打者となった。この日は勝てず、笑顔はない。あるのは敗れた悔しさだけ。勝利を求め続けた先に、若虎が大記録を成し遂げた。