岡崎だけじゃなく、オレもリベンジだ。阪神糸井嘉男外野手(35)が大好きな1番で復活だ。3回に11打席ぶり安打となる反撃の適時打を放つなど、2安打で逆転勝利に貢献。タテジマ初の4番を任された前日は無安打で逆転負けの要因を作ったが、男の意地を見せつけた。今季の1番打率は打順別最高の4割1分2厘。背番号7はやっぱりリードオフマンがお似合いかも。

 気持ちがボールに乗り移った。2点を追う3回、1死二塁の場面。カウント2-1。糸井は先発メンドーサの低め内角球を窮屈そうにつかまえた。打球は詰まりながらも遊撃手の頭を越えて中前に弾んだ。この日のヒーローとなった二塁走者の岡崎は三塁を蹴って、本塁へ激走。本塁返球を確認した糸井もスキのない走塁で一気に二塁を陥れた。

 「打者有利なカウントからでしたが、ランナーをかえすことだけ考えて打ちました」

 もがいていた。移籍後初めて4番を任された前日2日の日本ハム戦では5回、7回、9回と3度走者を置いた場面で3三振。5打数無安打に「僕が打っていれば…ですね」と悔しさをにじませた。

 金本監督は9打席連続ノーヒットと苦しんでいた糸井をこの日、気分転換の意味も込めて5試合ぶりに1番で起用。すると不思議と呪縛から解き放たれたのか。3回の2打席目に11打席ぶりのヒットが飛び出し、7回にも投前に転がるラッキーな内野安打で出塁。盗塁も決めた。

 5月にも指揮官からの1番起用という「カンフル剤」で28打席ノーヒットというトンネルを脱出した。糸井の打順別の成績では1番では17打数7安打、打率4割1分2厘。過去にも経験の豊富な打順だけに座りも悪くない。

 もちろん、努力があっての結果だ。この日は練習前にメディアの取材依頼を受けたが、「今は練習したいので、すみません」と丁寧に断り、黙々と練習に打ち込んだ。球団関係者も「あれほど練習をする人はいない」と驚くほどだ。

 「今日は太一(岡崎)でしょ。自分とかじゃないよ」

 試合後のクラブハウスへと通じる通路で、笑顔を見せることはなかった。終わってみれば2戦連続1点を争う接戦。糸井の執念打がなければ、岡崎のお立ち台も見ることは出来なかった。【桝井聡】