ヤクルトが、ソフトバンク柳田の「走力」にやられた。ヤクルトは交流戦で引き分けを挟み今季2度目の6連敗。いまだに勝ち星がない。

 ソフトバンクファンの悲鳴が一瞬で大歓声に変わった。10回2死三塁。久古健太郎投手(31)が打者柳田を追い込む。内角を攻めてカウントは0-2。3球目、133キロ内角球でボテボテに詰まらせた。だが打球は高いバウンドとなり三塁線へと転がる。三塁手谷内、投手久古、捕手中村の3人が追うがファウルゾーンへと切れそうな勢い。3人が見合わせてファウルにしようとするが人工芝に勢いを殺されて、三塁線の手前で止まり、内野安打でサヨナラ負けを喫した。

 久古は「ボールが切れていくように見えた。捕ってセーフになるよりもファウルの方がいいと思った。芝にとられて止まってしまった」と敗戦が決まると、グラウンド上に膝から崩れ落ちた。

 決断に迷いはなかった。俊足の柳田を相手にし、打球が転がった時点で中村悠平捕手(26)は「捕って投げてもセーフ」と判断。「間一髪で勝負するよりもファウルで切らそうとした」と見送った。三木ヘッドコーチも「仕方ないと言ったらいけないが、柳田の足では捕ってもセーフ。あの場面に限ってはあの選択で良かった」とかばった。

 敵地の人工芝が逆風だった。今季よりヤフオクドームは芝を張り替えていた。「フィールドターフHD」と呼ばれるもので、柔らかさが増していた。2シーズン前まで日本ハムでプレーしていた鵜久森は「全く変わった。柔らかいから打球が死ぬ。三遊間とか抜けなくなる。ゴロヒットが出にくくなるんじゃないか」と試合前練習で印象を話しており、打球の勢いを殺す足元がサヨナラの場面につながっていた。

 勝利へもがいている。中村は「交流戦で勝てていなく、ひとつ勝ちたいというのはある。ただ今日は全員を集めたミーティングで監督がやるべきことをしっかりやろうと話してくれた。結果は自ずとついてくると信じて、明日も頑張るしかない」と話した。試合前のベンチでは真中監督も「ビジターもホームも勝てていない。1試合、1試合、しっかりやらないと。まずひとつ勝たないと、2つ目はないからね」と交流戦初勝利への意欲は高かった。

 1-1の延長戦で迎えたまさかのサヨナラ負け。真中監督は「久古はしっかり攻めて、しっかりピッチングしてくれた。最後の結果は仕方ないかな」と振り返った。連敗脱出へ、気持ちを切り替えて戦うしかない。【島根純】