巨人が、ついに屈辱の連敗に終止符を打った。80年を超える歴史で球団ワーストを更新する13連敗を喫していたが、「日本生命セ・パ交流戦」の日本ハム1回戦でストップさせた。2回に古巣対決の石川慎吾外野手(24)が先制適時打。同点の5回には主将の坂本勇人内野手(28)が勝ち越しの適時二塁打を放った。先発のマイルズ・マイコラス投手(28)が8回1失点の好投で接戦を制し、16日ぶりに待望の白星をつかんだ。データ上は優勝確率0%という大失速となったが、名門が再浮上へリスタートを切る。

 巨人が溺れながら、もがき、やっと、ベンチ前に列をつくった。重ね合う手で小気味よい音を響かせる。主将の坂本勇の足取りが軽かった。同点の5回に中越えに決勝適時二塁打を決めた。「うれしいです。素直に」と一呼吸ついた。2試合連続で不慣れな2番に入った。「ランナーがいなきゃ出ないといけないし、いればかえさないといけない。それは1番でも4番でも一緒」。それよりも連敗中は主将としての重責と闘った。

 ここ2試合で4番に座った阿部。大黒柱に変わりはない。8連敗が決まった2日のオリックス戦後の深夜、後輩の心中を察し電話を手に取った。「勇人は絶対に下を向いちゃダメ。責任を背負うタイプだからつらいだろうけど上を向いて明るく貫くのが主将の役割。俺もそうだった」。前主将だから分かる痛みを共有し、視線と気持ちを前へと向けさせた。だから、球団ワーストを更新した12連敗の直後は「申し訳ない」と責任を背負った。大敗濃厚の前日8日西武戦の試合中、坂本勇も円陣の中心で声を張り上げて応えた。