選手会長の長野の目つきも変わった。自身の不振は言うまでもない。チームが音を立てて崩れていくさまを直視した。8日の西武戦。巨人ファンで埋まった右翼で引き締まった。「ヤジが飛んでくると思った。でも『頑張れ』『俺たちもいる』と声援を送ってくれた。勝たないといけない。勝てばいい。これからです」と全身に力が入った。同時に心底から感情がこみ上げた。

 左太ももにテーピングを施した村田は男だった。交流戦に入ってから3戦連発弾で気を吐いた。6日の西武戦で左太ももを痛めて途中交代も「試合に出られるかどうかじゃない。出るか、出ないか。出る。それだけでしょ」と8日からスタメンで強行した。

 選手だけじゃない。井端コーチは愛読する野村克也氏の本を頭で巡らせ「あれだけ野球のことが書いてあるのに、連敗脱出の方法が書いてない」。監督付の榑松GM補佐は好調だった開幕時の靴に履き替えた。入野サブマネジャーは「そういうのに頼りたくない」と、盛り塩を拒み自力にこだわった。それぞれが、悩み、戦った証しがある。

 負の連鎖が生み出す悪循環を高橋監督はじっと耐えた。8日までの西武3連戦では、メットライフドームの監督室から駐車場までの通路は連日、報道陣でごった返した。フラストレーションを己の中だけに閉じこめた。これほどにも1勝が遠く感じたことがあるのか。「1つ勝つのは大変だなと。でも、勝っても負けても次の日は次の日」と軸は動かさない。歴史的大型連敗で巨人の歴史は動いた。どう動いたかを示すのは、この先の戦いにある。【為田聡史】