セ・リーグ首位の広島がクリス・ジョンソン投手（３２）の快気祝いとばかりに、今季最多１２得点を奪ってパ・リーグ首位の楽天に完勝した。咽頭炎発症から体調不良のため長期離脱していたエースは、開幕戦の３月３１日阪神戦以来となる先発マウンドで６回６安打２失点に抑え、今季初勝利を挙げた。チームは６連勝で貯金は最多１６となり、２位阪神とのゲーム差を３に広げた。

　広島のエースが帰ってきた。速球のスピードこそ１４０キロ台前半だったが、テンポを上げてストライクを先行させる姿は昨季までの投球そのまま。４回に２点を失ったが６回６安打２失点でまとめた。変化球も丁寧に投げ「１軍は失敗が許されない。緊張感が違います。野手に助けられました」。昨季沢村賞左腕がようやく今季初勝利だ。

　長期離脱から帰ってきた。雨での登板となった開幕戦の３月３１日阪神戦（マツダスタジアム）で４回途中７失点と炎上。４月３日に体調不良を訴えて、同５日に出場選手登録を抹消された。広島市内の病院で「咽頭炎」と診断。さらにその後も体調不良から復帰出来ない苦しい時間を過ごした。「苦しかった。いい状態のチームに加われなかったから」と隠さずに言う。

　そんなエースを対応力抜群の打線が援護した。球場へ向かうバスで楽天の先発変更が伝えられた。左の塩見から右の戸村へ。即座に右腕仕様の打線にシフト。エルドレッドを交流戦で初めて先発から外し「つなぎ重視」で西川を起用すると、ズバリ的中の２安打２打点。急きょ先発出場の松山が３回に右翼線へ２点二塁打。安部も８回に楽天を突き放す適時打を記録した。

　大黒柱復帰を快勝で飾り、緒方監督も「つながりのある、うちらしい攻撃を見せてくれた」とたたえた。今季最多得点は本塁打なしの今季最多タイ１６安打。ジョンソンの復帰で、投打に役者がそろった広島に、死角は見当たらない。