阪神糸井嘉男外野手(35)にアクシデントが発生した。「日本生命セ・パ交流戦」ソフトバンク1回戦(ヤフオクドーム)の6回に中前打を放ち、そのまま代走が出された。左太ももを痛めたもようで、病院に直行した。この日はチームが快投を許したバンデンハーク相手にマルチ安打を記録するなど孤軍奮闘だった。出場選手登録を抹消する事態になれば、戦力ダウンは免れない。金本阪神が大きな危機に立たされた。

 金本阪神が大ピンチを迎えた。異変があったのは、6回だ。先頭打者の糸井が中前打を放った。その直後に、指揮官が代走新井のコールを告げた。3点を追う展開で、早すぎる途中交代。思わぬアクシデントが発生した。三塁側ベンチに消えた糸井は自ら歩いて、用意されたタクシーに乗った。短パン姿で、左太もも裏はアイシングされていた。無表情のまま、病院に直行した。

 バンデンハークを相手に、孤軍奮闘を見せていた。初回には中前打で出塁し、すかさず今季9盗塁目を決めた。この時に、左太もも裏を痛めた可能性がある。試合後、指揮官は負傷の原因を聞かれ、「いつかは分からない。(盗塁時)でしょう、おそらく」と話すにとどめ、推測の域を出なかった。「だんだん、キツくなってきているみたいだから、打って代わろうか、と」と続けた。6回の打席で途中交代することは決まっていた。

 交代時に痛がるそぶりを見せず、自力で歩いていた。金本監督も軽傷を強調した。「そこまで、ひどくはないと思うけど。ひどくなる前に代えたということですから」。オリックス時代の13年2月に同箇所の強い張りを訴えた経験がある。今後の処遇に関しては、状態を見て決めることになる。チームは糸井の離脱後、反発力もなく、無得点でゲームセット。出場選手登録抹消という最悪の事態になれば、チームにとって、大きな打撃になる。走攻守でチームの中心を担ってきただけに、戦力ダウンは免れない。

 糸井の負傷ショックに追い打ちをかけるように、首位広島が勝った。ゲーム差は「3」に広がった。これ以上は離されたくない状況だ。FA加入でチームに厚みをもたらせた男の軽傷を祈るばかりだ。【田口真一郎】

<過去の糸井の故障メモ>

 ▼左ひざ 日本ハム時代の07年9月10日ロッテ戦で二盗の際に痛め交代。「左ひざ側副靱帯(じんたい)損傷」で全治6週間と診断され登録抹消。

 ▼左足すね 08年4月3日のソフトバンク戦の守備中に痛みを訴え、翌日診察を受け「左下腿(かたい)外側コンパートメント症候群」と診断され切開手術を受けた。約2カ月後の6月11日に戦列復帰。

 ▼左脇腹 12年8月25日の楽天戦の試合前練習で故障し、同戦を欠場。「左内腹斜筋の挫傷」で翌26日に抹消。9月7日に復帰。

 ▼左太もも 13年2月5日、練習中に痛みを訴え別メニュー調整(右写真)も、同7日に本隊メニュー合流。

 ▼右肘と右足首 古傷の右肘と右足首痛で、15年7月3日に診察を受け「右肘内側側副靱帯(じんたい)損傷及び右腓骨(ひこつ)筋腱(けん)損傷」と診断され4日に抹消。同17日のオールスター第1戦で復帰した。