広島菊池涼介内野手(27)が「日本生命セ・パ交流戦」楽天2回戦(Koboパーク宮城)で通算200犠打を達成した。4回無死一塁で美馬から一塁へ決めた。プロ野球39人目で、史上4番目のスピード到達。緒方監督も「もっともっと貢献してもらいたい」とたたえた。チームは敗れて連勝が6で止まったが、これからも数字を伸ばし続ける。

 いとも簡単に、菊池が一塁方向へ転がした。右足を1足分後方へ引き、構えたバットはそのまま。高めの直球にコツンと当てた。4回無死一塁で田中を二塁へ送った。菊池はいつものようにハイタッチの列に戻り、いつものように表情を変えないで応じた。通算200度目も、2番の仕事をこなしたまでだった。

 「チームのためにと思ってやってきた積み重ねです。まだまだこれからも送るだろうし、通過点です」

 プロ野球39人目の大台に史上4番目のスピードで到達した。1年目から25犠打を記録するなど「つなぐ役割」を全うしてきた証拠。「(前監督の野村)謙二郎さんのときから、たくさん細かい練習もやってきた」。試合前練習では最初にバントを行う。マシンを相手に白と赤のマスコットバットで感覚を大切に、ボールの勢いを殺すのがルーティンだ。

 確かな技術があるから、ここ2年は難しい仕事もこなしている。15年は49あった犠打も、昨季は23まで減った。緒方監督の方針もあり「打ってつなぐ」ことが増えた。1回無死一塁の犠打は3度しかなかった。逆方向へ打ったり、ゴロを転がしたり、粘ったり。そのなかで最多安打と最多犠打を同時に記録し「新しい自分が見えた」と振り返る。犠打がもったいないと感じさせる、広島に欠かせぬ2番だ。

 199犠打を決めてからは「リーチをかけてから、どう上がるかが大事」と冗談交じりに話していた。自己犠牲の菊池だ。先制点にこそつながったが、チームの勝ちが何よりほしかったはず。それを察してか緒方監督も「一番難しい打順。節目の試合でチームの勝利で祝えたらよかったけど」と残念がり「これから先も、もっともっと貢献してもらいたいし、彼なら出来る」と続けた。最強2番の仕事はこれからも続く。【池本泰尚】