甲子園組の活躍で楽天が連敗を3で止めた。「日本生命セ・パ交流戦」阪神2回戦(甲子園)は、7回まで2-2の接戦。均衡を破ったのが星稜(石川)で甲子園に出場経験のある島内宏明外野手(27)だ。8回1死二塁で左翼越えにV三塁打。ペゲーロの満塁弾など、この回、一挙6得点の呼び水となった。9回には大量リードにも松井裕樹投手(21)が登板。桐光学園(神奈川)2年時に1試合22奪三振の新記録をつくった思い出の地で、連敗ストップ、首位キープを締めくくった。

 左翼の福留が途中からあわてて背走した。甲子園名物、浜風に乗った島内の打球は左翼フェンスまで伸びる。「打ち損じた」とばかり、打った瞬間は下を向いた島内だったが、甲子園は「味方」だった。二塁からウィーラーを迎え入れ、待望の勝ち越し点。自らも三塁まで進み、その後の猛攻につなげた。

 「風に乗せるつもりはなかったけど、よく乗ってくれました」。照れ笑いを浮かべながら振り返ったが、打席での冷静な判断がもたらした決勝打だった。阪神マテオとは初対戦。「まっすぐもスライダーも速い。遅い球はないからストレートに合わせて打席に入った」。少し差し込まれたものの、速い球に振り負けないという意識があったからこそ、福留の頭上を越せた。

 星稜3年の夏に甲子園に出場。初戦で長崎日大に敗れたものの、2安打の活躍をみせた。プロ入り後も相性は悪くない。甲子園では通算3試合目だが、13年5月28日の交流戦では9回にやはり三塁打でV打点を挙げている。「終盤いい形で攻撃できた。明日(今日18日)は早めに点を取ってピッチャーを楽にさせたい」と話した。

 そして松井裕だ。6点差の9回、高校時代と同じように、走ってマウンドに向かっていたら「歩いていけ!」というヤジが聞こえたという。かつての甲子園のヒーローは、姿を見せるだけで敵ファンを消沈させる、絶対的な守護神として聖地に戻ってきた。

 「点差もあったので、逆にしっかり、気持ちを切らずに投げました」。2死から二塁打を許すも、最後は代名詞の空振り三振で試合を締めくくった。セーブはつかないが、今日18日の第3戦に向けて、相手の反撃意欲をそぐことに意味がある。「明日(今日)こそはセーブをつけたい」。節目の通算100セーブまで、あと17。思い出の甲子園での初セーブを狙いにいく。