だが現状は4位。首位広島には11・5ゲーム差とまだ苦境にある。鯉の背中に近づくには、さらなる加速度が必要だ。坂本勇は「状況は決していいとは言えない。順位もそう」と冷静に分析。そのうえで「先週はいい戦いができた。(18日ロッテ戦は)勝ち方もすごく良かったと思う。ああいう試合があると乗っていくし大事。お客さんも喜んでくれると思う」とほほ笑んだ。自身も12年に最多安打のタイトル獲得を決め、感極まった。その姿が仲間の心を動かし、チームは日本一まで駆け上がった。勝利のために全身全霊を懸けてプレーした時にだけ出現する、熱い“泣き虫”なら大歓迎だ。

 大黒柱の阿部が故障離脱中だが、坂本勇は「僕だけじゃカバーできない。みんなでカバーしていきます」と約束した。前半戦は残り17試合。「そういうの(逆転優勝)を目指してやるし、そのためにも(前半戦で)借金を返していきたい」と力を込めた。1勝に懸ける本気の涙を数多く流した先には、最高の笑顔が待っている。【浜本卓也】

<巨人の男泣きメモ>

 ◆亀井 交流戦の最終戦となった18日ロッテ戦で今季1号サヨナラ3ランを放ち、お立ち台で号泣。高橋監督に就任通算100勝目をプレゼント。

 ◆山口俊 14日ソフトバンク戦で6回無安打無失点で移籍後初勝利をマーク。右肩痛で出遅れたFA戦士が感極まった。

 ◆村田 15年7月10日阪神戦で71日ぶり4号決勝2ラン。お立ち台で約2カ月ぶりに観戦した息子の話題を振られると言葉を詰まらせ、うれし涙。

 ◆菅野 14年6月6日西武戦に祖父貢氏(享年79)の葬儀参列後に登板し、8回3失点で勝利投手。祖父を思い涙した。

 ◆坂本 12年10月7日のリーグ最終戦で3安打を放ち、長野と並び最多安打のタイトル。ベンチでガッツポーズの長野の姿に目頭を熱くした。

 ◆内海 11年10月22日のリーグ最終戦に3番手で登板。1点を追う9回に長野のサヨナラ満塁弾で最多勝タイトルが確定。長野と抱き合い涙。