ようやく帰ってきた! 左太もも肉離れで離脱していた日本ハム大谷翔平投手(22)が、ソフトバンク10回戦(ヤフオクドーム)で復帰を果たした。

 8回に代打で空振り三振に倒れたものの、4月8日オリックス戦(京セラドーム大阪)以来の登場に敵地スタンドが大きく盛り上がった。プロ野球ファンが待ち焦がれた大谷の戦線復帰。次は安打、本塁打、そして二刀流…完全復活が待ち遠しい。

 唯一無二の存在が、帰ってきた。左太もも裏肉離れで戦列を離れていた大谷が、80日ぶりに打席に立った。3球目、内寄りの143キロ直球をフルスイング。打球は三塁方向へのファウルとなったが、スタンドは大きく沸いた。「トレーナーさんも、各先生方にもお世話になって試合に出られた。感謝したいです。時間はかかったけど、今日出られてよかったです」。最後は初めて投じられた変化球に空振り三振。試合にも敗れたが、まずは大きな1歩を踏み出した。

 4回までに大量6失点。点差が広がった中盤、大谷の姿はトレーナー室にあった。患部にはがっちりとテーピングが施された。肘当て、手袋をつけ、“臨戦態勢”を整えた。2カ月半ぶりの緊張感。「故障者が多い中、早い段階で離脱してもどかしかった」。けが人だらけのチームは低迷。仲間の苦境は、中継画面で見ることしかできなかった。この日も打線はわずか1安打。悔しさと、責任を背負い、グラウンドへ足を踏み出した。

 2軍戦を飛ばし、ぶっつけ本番で臨んだ。大谷は実戦での投手の球が「どういう風に自分の目に映るのか確認したかった」という。4球直球が続き、最後はチェンジアップ。「反応しきれていない、場数を踏まないと」。実戦勘不足も自覚したが「目では追えている」と、手応えも口にした。

 試合前、栗山監督は、29連勝を達成した将棋の藤井聡太四段(14)について「ああいう若い人、才能が豊かで、(将棋を)愛してやっている人が出てくるのはうれしい」と言った。「才能が豊か」で「(競技を)愛している」といえば、二刀流・大谷にもあてはまる。離脱中も2軍施設の千葉・鎌ケ谷でトレーニングに励み、高卒選手向けの座学にも参加した。「今は野球に打ち込む時期」。ケガで思うように体が動かなくても、野球から離れることはなかった。

 今後は状態次第で、スタメン復帰にステップが上がる。大谷は「なかなか難しい状況ですけど、連勝していけるように頑張りたい」。もがき苦しむチームに、起爆剤が注入された。【本間翼】