DeNAの若きリードオフマンが、史上初の快挙でチームに貯金をもたらした。桑原将志外野手(23)が、2点を追う9回2死満塁から7号逆転満塁本塁打をマーク。初回にも先頭打者本塁打を放っており、ともに肩書つきはプロ野球史上初。桑原が本塁打を打った試合は5戦5勝と不敗神話も継続し、巨人に6-4で連勝した。チームは3連勝で、昨年7月30日以来の貯金1とした。

 桑原で始まり、桑原で終わった。2点ビハインドの9回2死満塁で頭に描いたのは初球だった。「強い球に振り負けないイメージ。しっかり自分のスイングをすること」。内角へ入った145キロの球にバットを振り抜いた。打球はDeNAファンで青く染まった左翼席へ一直線。8回に投手陣が逆転を許し、敗色濃厚の中で飛び出した劇的な逆転満塁弾で、巨人の息の根を止めた。お立ち台では、高揚する気持ちを抑えるように言った。

 桑原 みんなが最後まで諦めずにつないでくれたので、なんとか後ろにつなごうと思っていた。チームを勇気づける打席を心がけている。

 初回から勇気を与える1発を放った。先頭で、巨人マイコラスの3球目を左中間席に運ぶ、今季3度目の先頭打者本塁打。両方肩書つきの先頭打者弾と満塁弾は史上初の快挙になった。DeNAのリードオフマンとして、昨季から定着。熱血漢でムードメーカー。その半面、責任感とプレッシャーに押しつぶされそうになりながら戦っていた。

 シーズン前、ある数字を頭に刻み込んだ。マシンガン打線と称された98年の日本一メンバーの1番石井琢朗(現広島打撃コーチ)の記録を、メモをしないで記憶した。「174安打、103得点、出塁率3割8分9厘」。常に意識して打席に立っている。シーズン序盤は不振にあえいだが、徐々にこの数字にも近づきつつある。

 チームは今季初の貯金1。シーズン折り返しとなった前日6月30日の巨人戦から、筒香を3番に据えた新打線を組む。桑原は「自分が塁に出ないといけないプレッシャーはある。後ろの打者を生かすも殺すも自分次第」と、出塁への意識はさらに高まった。“新打線効果”が1番打者にまで波及した格好だ。「自分が出れば打線は活性化する」。起爆剤としてDeNA打線をけん引する。【栗田成芳】

 ◆桑原将志(くわはら・まさゆき)1993年(平5)7月21日生まれ、大阪府出身。福知山成美から11年ドラフト4位で入団。14年8月に巨人戦で2度のサヨナラ安打。昨年6月から1番中堅に定着。174センチ、78キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸4000万円。