巨人田口麗斗投手(21)が、苦境にあえぐチームを救った。首位広島相手に攻めの投球を貫き、7回4安打無失点で7勝目。チームの連敗を4で、広島戦の連敗を7でストップした。7勝はリーグトップタイで2・08の防御率とともにリーグ2冠に浮上。左腕で唯一ローテーションを守り続ける田口が、5位からの逆襲には欠かせない。

 後先考えずに腕を振った。2点の援護をもらった直後の6回1死一、二塁。丸の内角に直球を突っ込んだ。やや真ん中に入ったが気迫が勝った。投直をつかみ、素早く一塁送球。併殺を決めると、ほえながら拳を振り下ろした。「絶対に点を取られないと気持ちが入っていた。0点に抑えられて良かった」と笑った。

 この一戦に懸けていた。マツダスタジアムでの登板は、6回3失点で敗戦投手となった5月14日以来。その登板後に、ロッカー室で阿部に「頑張っているのに打てなくて申し訳ない」と声を掛けられた。「自分が打たれたから負けたのに…。阿部さんにこんなことを言わせてしまって申し訳ない」。敗戦の責任を一身に背負う主砲の姿に感動しつつ、先発投手としての責任感をもっと持たないといけないと痛感した。

 チームのために何ができるのか。その思いが行動を変えた。7連敗で迎えた6月2日のオリックス戦に、突然丸刈りで現れた。仲間に笑顔でいじられた。「ムードが少しでも変わればいいかなと思って」。自分も何とかしたい一心だった。