ようやく手にした1勝に、西武多和田は安堵(あんど)の笑みを浮かべた。「やっぱりうれしいですね。我慢強く投げられました」。直球が走った。ロッテに3点を先行されたが、味方が2点返した直後の4回表、同点に追いついた直後の5回表を3人で切った。今季先発6戦目で、待ちわびた初白星がついた。

 前回登板の6月28日、沖縄での試合後に森慎二投手コーチ(享年42)の訃報が届いた。耳を疑った。独特の低重心のフォームは同コーチと磨いてきた。「下半身の使い方、基礎を教えてもらった。最初は信じられなかったけど、現実を受け止めないといけない。慎二さんのために頑張ろう」。

 10日から、森コーチの背番号「89」のワッペンが全員の帽子についた。今度こそ、負けられなかった。「フォームや基礎がまたできたことが、いい投球につながったと思います。ホッとしました」。チームの連敗を止め、哀悼の意とともに、天国へ復活の証しを示した。【鎌田良美】