DeNAが10年ぶりに前半戦貯金生活が決まった。2点リードを奪われるも、3回に3番筒香嘉智外野手(25)の同点2点タイムリーで追いつき、5回に5番宮崎敏郎内野手(28)が勝ち越しV打を放ち逆転に成功した。広島に勝ったことで、07年以来の勝ち越しとともに、リーグで唯一“3タテ知らず”でのターンとなった。

 素直に逆らわず、3度目の右方向への打球だった。5回2死二塁。点差はない。宮崎は「なんとか自分が決めてやろう」と広島岡田の2球目のスライダーを右翼線へ流した。逆転が真骨頂の広島に逆転V打。「石田が頑張っていたから、なんとか1点取ってあげたかった。粘って、粘って、次につなげる気持ちで打席に立っている」と大粒の汗を流し控えめに喜んだ。

 第1、第2打席も右前安打。「強引にいかず、きた球を素直に返そうと思っただけ」。両方向に打ち分ける打撃技術にラミレス監督も目尻を下げる。「しっかり体を残して逆方向に打てている」と好調の理由を語った。

 春季キャンプは2軍スタート。朝起きて、部屋で体幹トレーニングを行ってから球場へ向かい、練習後はアイスバスで疲れを取るのが日課だった。遠征にきても宿舎で振るため、この日も右手にバットを握りバスに乗り込んだ。努力を積み重ね9度目の猛打賞で、首位打者もキープした。

 試合前、九州豪雨による被災地支援で募金活動を行っていた。球宴出場メンバーを中心に、広島の選手たちと並び、来場者たちに呼びかけ集まった金額は50万円以上。地元は佐賀・唐津市で、実家に大きな被害はなかったが、近郊では苦しんでいる人もいる。「複雑な気持ちです。野球を見て、元気を出してもらえたらうれしい」という思いを胸に試合に臨んでいた。

 勝ち越しターンが決まり、リーグ唯一の3タテ知らず。指揮官は言う。「貯金を持って後半戦にいけるのは大きい。いいペース。もっと増やしていきたい」。そのカギを5番宮崎が握っている。【栗田成芳】