阪神中谷将大外野手(24)が4番起用に応えた。3点を追う6回。1死一、三塁で反撃の左前適時打を放った。3試合目となった4番起用で初のタイムリー。同点の8回には先頭打者として右前安打で出塁。猛打賞の活躍で逆転勝ち、3連勝ターンに貢献。若虎の成長こそ、大逆襲への最大のパワーになる。

 中谷に迷いはなかった。3点を追う6回。上本と糸井が連打。1死一、三塁で4番打者に打順は回ってきた。中日バルデスの初球は外角へ外れたチェンジアップ。迷うことなく、体を乗り出しながらバットに当てた。しぶとく左前へ適時打。若武者は難しい球を拾い上げた一打を振り返った。

 中谷 初球がボールでもいこうと思っていた。点取られて流れがあっちにいきかけてたので、それをなんとかこっちに流れを引き寄せたんじゃないかなと思います。

 4番3試合目、11打席目での初タイムリー。1点ビハインドから、3点差に突き放された直後だった。中谷自身が振り返ったように、竜に傾いた流れを一打で引き戻してみせた。

 中谷 ほんと気持ちいいですし、きょう勝ててなかったら、(福留)孝介さん出てなかったからと言われるんで、勝ててよかったです。

 8回の一打も試合を動かした。先頭打者として右前打。勝ち越しへの口火打となった。粘り強く、あきらめない戦いで3連勝。金本監督は「先制されながらも、よく追いつき、追い越して、粘ってくれた」。さらに指揮官は言葉を重ねた。「本当によく粘り勝った」と。まさに、その粘りの中心にいたのが中谷だった。

 4回の左安と合わせ、猛打賞。4、6回のヒットは左腕バルデスからマークし、8回の一打は右横手の又吉からだった。金本監督も打撃内容に目を見張った上で「調子がいいから打てるだけではなく、なぜ打っているのかの裏付けを理解して、続けてほしい」と期待を寄せた。

 今季7年目にして初の開幕1軍スタート。当初は代打での出番が多かったが、4月末から先発出場の出番をつかみ始めた。71試合出場、9本塁打、28打点、55安打。あらゆる部門ですでに昨年より上回ったが、少しばかりの休息を挟み、まだ戦いは続く。

 中谷 (チームへの貢献が)できているときもできていないこともあった。後半戦、大事なので頑張ります。

 がむしゃらな思いは、後半戦も変わらない。【山川智之】