広島大瀬良大地投手(26)が7回4安打1失点の好投で、無傷の7勝目をマークした。5回の先頭阿部に左前打を許すまで1人の走者も許さない好投。7回に1点を失うも最少失点でしのぎ、防御率を2・95と2点台にした。チームは4連勝で今季の巨人戦勝ち越しを決め、今季最多を更新する貯金27とした。

 自分らしく、大瀬良は強気に腕を振った。初回から制球力が抜群。4回の先頭長野に与えるまで、初球がボールの打者はいなかった。直球とスライダーでカウントをとり、カットボールでつまらせた。「全体的にストライク先行でいけた。よかったと思います」。巨人打線を手玉に取り唯一のピンチではギアを上げた。

 前回登板の阪神戦では好投も8回途中で降板していた。だから1点を失った後の7回1死一、三塁で心に決めた。「1点で食い止めて、マウンドを降りる」。マウンドに来た畝投手コーチからも「この回は任せたぞ」と声を掛けられた。村田を中飛、陽岱鋼を空振り三振。1失点で7回を投げ終え、無傷の7勝目を“先輩”に届けた。

 球宴休みだった14日。大瀬良は山口・周南市内に向かった。故津田恒実氏(享年32)が眠る墓に前半戦の報告をするためだった。命日の20日にはインスタグラムを更新し「今日のお前は、お前らしく強気に投げられたかい? 登板後にはいつも、そう問いかけられているように感じます。(中略)僕にしか背負えない、僕にしか分からない大切な重たいもの」とつづった。

 弱気は最大の敵。「炎のストッパー」と呼ばれた津田氏は背番号14の先輩だ。大瀬良は大瀬良にしか分からないものを背負ってマウンドに立つ。7個目のウイニングボールで後ろポケットを膨らませ「この時期になると、何とかいい投球をしたいと思っている。継続していきたい。また次も勝てるように」と誓った。

 チームは4連勝で貯金を今季最多の27まで伸ばし、早くも今季の巨人戦勝ち越しも決めた。緒方監督は「大地はずっといい投球が続いていたから。非常に安心する」と絶賛。心優しき右腕が導き、広島は連勝街道を突き進む。【池本泰尚】