巨人が目を疑うような幕切れで、3カード連続の勝ち越しを逃した。4-5の9回1死一、二塁。坂本勇が右中間に放った飛球を中堅大島が好捕。大きく離塁していた2人の走者はそれぞれ帰塁し、2死となって阿部が打席に向かった。2000安打という大記録まで残り6本の主砲が、1発逆転のサヨナラ機で登場。東京ドームが大歓声に包まれた中、中日側が審判にアピールプレーをして、試合終了が宣告された。

 二塁を回った一塁走者の代走重信が、帰塁の際に二塁を踏み直さずに一塁に戻っており、走塁死となった。高橋監督は「しっかりしてもらわないと困る。ルールだから。野球選手としての問題」と苦言を呈した。重信はこわばった表情でうつむきながら、無言のまま球場を後にした。

 大記録へのカウントダウンを刻んでいた阿部は、最後の1打席が“幻”に。6試合ぶり無安打で、マジックは減らせなかった。それでも「いろいろなことが起こるのが野球だから。また阪神戦で勝ち越せるように」と、8日からの3連戦(東京ドーム)での偉業達成を視野に入れた。チームも6試合続いていた3本塁打以上もストップ。仕切り直して、伝統の一戦に臨む。【浜本卓也】