首位楽天の1番は、やっぱり、この男でしょ! 楽天茂木栄五郎内野手(23)が「1番・指名打者」でスタメン出場し、1回に今季6本目となる先頭打者弾を放った。右肘骨挫傷のため6月19日に登録抹消し、7月30日に復帰して8試合目。直近4試合で3発と調子は上向きだ。次カードのオリックス戦(京セラドーム大阪)からは、守備にも入る予定。「楽天1番」の完全復活までもうすぐだ。

 打席に入り、約15秒後のことだった。茂木の豪快なフルスイングに、楽天ベンチが大盛り上がりとなった。打った瞬間にそれと分かる打球が、右翼スタンドの中段で大きく弾んだ。日本ハム先発有原の初球を狙い、高めに抜けたカットボールを捉えた。「ホームランはたまたまですね。自分でもビックリです」と驚きながら、結果を残した。

 これで今季6本目となる先頭打者アーチ。そのうち、初球は3本と積極打法が結果として表れている。「初球を振るイメージではなく、1球目を強く振る準備が出来ている。素振りだったり、体のケアだったり」。試合前からの細かなケアと準備の蓄積が、この数字を生んでいる。6月17日阪神戦(甲子園)で右肘骨挫傷を負い、7月30日オリックス戦(京セラドーム大阪)で復帰した「栄ちゃん」。「調子が上がってきた気がします」と本人も納得のように、ここ4試合で3発と代名詞のフルスイングが帰ってきた。

 変な遠慮がない。「栄ちゃん」だから、結果も付いてくる。昨オフはプロ入り後、初めての自主トレを銀次とともにした。「打撃のメニューをやる時間でも、『僕は今日は少しにしておきます』とか『今日は筋トレを多めにします』とか。2年目なのに、すごくしっかりしている。なかなか出来ないこと」(銀次)。茂木は、同じ左打ちの先輩を前にしても臆することはない。「自分に何が必要なのか、考えてやっています」。若手とは思えないほど、自分の考えを持ち、そこに突き進む。

 そんな男も、さすがにリハビリ中は落ち込んだ。「何もしていないのに、気付いたら2キロも体重減っていましたよ」。落ち込む気持ちを大好きな曲で癒やしてもらった。自身の登場曲にも使用するSuperflyの「輝く月のように」を何度も車内で流した。「何か歌声だったり、曲の雰囲気がすごく心に響くんですよね」と孤独な時間を支えてくれた。

 次カードのオリックス戦からは守備に入る。今度は「1番・遊撃」の「栄ちゃん」が帰ってくる。左太もも裏痛の「2番ペゲーロ」も8月中旬復帰の青写真を描いている。楽天イチバ~ン打線の破壊力の復活は、もうすぐだ。【栗田尚樹】