パンダ砲は寝てもすぐ起きるんです! 阪神の9回決勝打はジェイソン・ロジャース内野手(29)の犠飛だ。3番福留の同点三塁打に続き、4番が自力V復活の一撃。前日まで来日最長の9打席無安打だったが、この日初回に10打席ぶり安打となる先制適時打を放つなど、不調は短い。歴代助っ人は長引く不振に苦しんだが、ひと味もふた味も違うぞ。

 一振りで白星をモノにした。同点に追いついた直後の9回。ロジャースがカミネロの157キロをとらえて左犠飛を放ち、一気に勝ち越し成功だ。

 ネクストバッターズサークルで、福留が同点三塁打を放つシーンを見た。激走をみせたベテランを報いるべく、冷静に打席へ。「どんな形であれランナーをかえすという、そういう意識でした」。4番らしい、状況を判断したチーム打撃で、逆転勝利を導いた。

 金本監督も「最後の打ち方はやっぱり頭いいよね。速い投手はこうやって打つんだよっていうね。前でポーンと外野フライを打ちにいって。決して振らずに、いいポイントで。考える力は持っていると思いますね」とニンマリだ。

 この日、スタンドには「PND48」と書かれたボードが掲げられていた。試合前には「パンダー!」とファンから声を掛けられることが増えた。動物園ではなく、野球場に出現する「虎のパンダ」は、もうすでにみんなのアイドルになっている。打って、守って、そして踊れる? 助っ人の登場だ。

 試合前まで来日最長の9打席連続無安打。だが、長くぐっすり寝ているわけにはいかない。“おやすみパンダ”は、すぐに起き上がった。初回、福留の右翼線二塁打で2死二塁の好機。「甘いボールを打ち損じてしまいファウルにしてしまったので、次のボールを力まずにセンターへ返す意識で打つことができた」。

 3球目の147キロ直球は惜しくもファウル。しかし4球目。同じく直球を続けてきた相手バッテリーにお返しをした。高い修正力でお目覚めの中前打を放ち、あっさりと先制点をゲット。「(昨日よりは)修正できてマシになった。どの打席も、良い内容でやっていきたい」。歴代助っ人は1度不振に陥ると長引いた。でもロジャースは違う。着実に日本野球へアジャストしてきたパンダが、ますます頼もしい。【真柴健】