救世主は藤浪だ! 2軍で調整を続けてきた阪神藤浪晋太郎投手(23)が、1軍昇格の最終テストに合格した。ウエスタン・リーグ広島戦(倉敷)に先発。5回4安打1失点に抑え、1軍復帰を猛アピールした。この日、メッセンジャーの負傷で先発陣は、さらに手薄。背番号19の出番が、ついにやってくる。

 ついに藤浪が1軍のマウンドに戻ってくる。ウエスタン・リーグ広島戦に先発し、5回を投げて4安打1失点。最速は156キロで3三振を奪った。失点を許したのは岩本のソロのみ。「いい球も悪い球もありましたけど、全体的には粘れた」。課題とされていた四球も2つで球数は84球。「最終試験」をクリアした。

 試合後、掛布2軍監督は1軍復帰について「上がどう判断するか分からないけど。僕はよしと思っている。時間がかかったけど(2軍で)やることは終わったんじゃないかな」とGOサイン。「それ(次回の1軍登板は)は(金本)監督が決めることだから」と前置きした上で「彼が戦わないといけないステージでやってほしい」とエールを送った。

 今季は開幕から1軍で3勝3敗。防御率2・66をマークするも、不安定な投球内容が続いて5月27日に2軍降格。「課題はいろいろありますよ。感覚の問題なので。なかなか言葉にできることではないですね」。鳴尾浜で1カ月近い“ミニキャンプ”も張り、がむしゃらにベストコンディションを追い求めてきた。この日の試合後も「やらないといけないことが、たくさんあります」と向上を誓ったが、ようやく華やかな舞台に戻ってくる。

 1軍の先発ローテ事情は苦しい。9勝の秋山は右太ももの張りを訴え、7日に出場選手登録を抹消された。岩貞は8日巨人戦で4回6失点と炎上して2軍降格。この日はメッセンジャーが7回に4番阿部の弾丸ライナーを右足首付近に受け、出場選手登録を抹消されることが確実となった。苦境に陥った今だからこそ、藤浪の力が必要だ。香田投手コーチは藤浪について「良かったみたいだね。(1軍ローテの)選択肢の1つになるんじゃないですか」と説明し、次回1軍復帰の可能性を否定しなかった。

 藤浪は当初、この日好投すれば中6日で17日の1軍広島戦に向かうと予想されていたが、メッセンジャーの負傷降板を受け、中5日で16日広島戦に回る可能性も出てきた。2カ月以上も戦列を離れ、迷惑をかけたという気持ちは強い。今度こそ、快投でチームを救いたい。【真柴健】