阪神中谷将大外野手(24)が、得意のDeNA戦で豪快にアーチをかけた。1-0の3回2死一、二塁で、石田から左中間へ13号3ラン。このカード5本目の1発で先発岩田を力強く援護した。これで勢いづいた打線は今季初となる先発全員の13安打を放ち、8点を奪って快勝した。

 中谷が暗いニュースを一気に吹き飛ばした。1点リードの3回2死一、二塁。DeNA石田の甘く入った初球スライダーを、待ってましたとばかりに豪快に振り抜いた。高々と夜空を舞った打球は左中間席中段へ。一気に3点を追加し、ベンチを活気づけた。

 中谷 ランナーをかえすことができてよかった。(打ったスライダーは)甘く入ってきたので、しっかり振り抜くことができた。

 石田からは前回対戦の7月27日にも甲子園で11号3ランを放っていた。「(相性がいいとか)そんな感じはない。今日は打ててよかったです」。その時の先発も岩田。逆転弾で白星をプレゼントしていた。そんな岩田との相性に加え、DeNA戦も好相性。今季40打数12安打で打率3割。本塁打はこの日がカード5本目で、お得意様にしている。

 逆境は、吹き飛ばすだけだ。前日10日巨人戦でメッセンジャーがライナーで打球を受けて右足腓骨(ひこつ)を骨折。この日の午後、助っ人は投手だけでなく野手のミーティングにも姿を現した。これを見た中谷は「これまでずっといいピッチングをしていた」と離脱を惜しみつつ「これから勝っていくしかない」と気を引き締めて試合に臨んでいた。

 金本監督は中谷の活躍に目を見張る。「慣れてきたのもあると思う。対応の仕方とか、いろいろね。もともと飛ばすパワーもある。アジャストするタイミングさえつかめば、いいものが出てくるだろうと去年から思っていた」。昨年は原口、高山、北條ら若手が活躍する傍ら、主にベンチで戦況を見守った。今季は開幕ベンチスタートながら、5月ごろから出場機会をつかみ、現在は5番を任されている。苦しいチームを救うためには若武者・中谷の力が必要だ。【山川智之】

 ▼中谷が、チーム1位をひた走る13号本塁打。DeNA戦での5本塁打、12打点は対戦別最多。岩田が先発した今季3試合で、打率4割2分9厘(14打数6安打)、2本塁打、6打点と強力バックアップ。これで中谷が本塁打した今季13試合でチームは11勝2敗、7月6日DeNA戦から6連勝となった。