DeNAルーキー浜口遥大投手(22)が8勝目を挙げ、新人王争いに名乗りを上げた。6回までわずか3安打。7回に3安打3失点で降板したが大量援護にも救われた。「あんまり調子はよくなかったけど変化球が使えた。真っすぐも内と外に投げられた。今日はもうちょっとやれたかな。素直に喜べない」と振り返った。

 投球にメリハリを利かせた。立ち上がりは、いきなり10球連続直球。そうかと思うと、2回り目からはチェンジアップ、スライダー、フォークといった変化球を多めに交え、目先を変えた。「高城さんと試合中も確認しながらやれた」。3試合ぶりに組んだ女房役と息を合わせた。投球動作に入る際、右足を踏んでから左足を踏むというルーティンでリズムを取りながら、前回登板で崩したバランスを取り戻した。3回には巧みな身のこなしで、セーフティースクイズを阻んだ。

 8勝目には意味がある。「1つ目の今年の目標に置いていた」。横浜スタジアムまで車に乗せてもらうなど、公私ともに世話になる1つ上の左腕、今永が1年目に挙げた勝利数だからだ。今永の8勝目は9月で、8月までに8勝は62年稲川誠(元寮長)以来、球団の新人では55年ぶりの快挙。2桁勝利については「自分の勝ちよりもチームの勝利。もう少し長い回を投げないと」と謙遜した。

 新人王を争える位置につけてきた。8勝は新人最多を独走し、野手の中日京田と一騎打ちが予想される。大学時代は日本代表のチームメートだったが「すごくいい刺激をもらっている。京田は1年間出続けているので巻き返したい」とライバル心を燃やす。左肩機能不全で惜しくも辞退となったが、新人ながらオールスターにも選出。2位阪神に2・5差まで追い上げるチームにとって、終盤戦のキーマンとなりそうだ。【斎藤直樹】

 ◆浜口遥大(はまぐち・はるひろ)1995年(平7)3月16日生まれ、佐賀県出身。三養基(みやき)高-神奈川大。昨秋ドラフトでは柳(中日)佐々木(ロッテ)の外れの外れ1位。150キロ台の直球とスライダー、チェンジアップが武器。登板2戦目の4月9日・中日戦でプロ初勝利。選出された球宴は左肩機能不全で辞退。173センチ、80キロ。左投げ左打ち。