Aクラスは渡さない。DeNAのドラフト1位ルーキー浜口遥大投手(22)が巨人打線を8回無失点に封じ9勝目。負ければ4位転落となる大事な一戦で、気持ちを前面に出す投球で被安打は2。二塁を踏ませない完璧な投球で、無失点リレーを決めた。チームは巨人戦の連敗を7で止め、ゲーム差は再び1・5に開いた。

 ズカズカと赤土のマウンドを降りた。7回2死一塁。浜口は巨人村田への2球目、インハイ142キロのつり球を振らせて追い込んだ。「絶対に負けられない。負ければガラッと流れがいく」。捕手高城の返球をもぎ取りに行き、きびすを返して目をむいた。「とにかく腕を振った」。完全な対となる外角低めにフォークボールを落とし込み、3球三振に切って捨てた。

 3度マウンドを降りた。6、8回の無死一塁。送りバントの打球に迷わず詰め寄り、二塁で殺した。「練習してきたこと。しっかりゴロを捕ってステップ。入れ込みすぎず、やれることをやろう」。8回は「大きな声援が聞こえた。『何とか喜んでもらえるように』」と、今季53度目の札止めとなったハマスタの力も借りた。高ぶりを制御できる骨太の心技体。剛腕マイコラスとの投手戦という最もタフな展開を支えた。

 巨人戦は2戦2敗、防御率8・18と苦手だった。「コテンパンにやられていた。やり返してやる」とプロの鉄則に従った。終盤で145キロオーバー、一直線の重いクロスファイア。チェンジアップとフォークボール。中日から海を渡ったチェンを思い出させる、セ・リーグでは久々の超・本格派左腕が4位転落を阻止した。

 二塁を踏ませない107球。「絶対勝つつもりで投げた。ここまでの一番と言っていい。ハッキリ言ってきませんでしたが、ここまで来たらしっかり2桁を達成したい」。1年前の9月19日、広島に勝って初のCSを決め、CSファーストステージで巨人を沈めたDeNA。浜口という強烈な上がり目がいる。去年よりも前に進める。【宮下敬至】

 ▼ルーキー浜口が巨人戦初勝利で今季9勝目を挙げた。DeNAの新人で9勝以上したのは97年川村10勝以来となり、左腕では58年に15勝した鈴木隆以来、59年ぶりだ。DeNAの1-0勝利は今季4度目だが、浜口は4月25日阪神戦でも勝利投手。1-0試合で2勝以上したDeNAの新人は、56年秋山(先発2勝、救援2勝)に次いで61年ぶり2人目になる。