日本ハムのルーキー石井一成内野手(23)がロッテ21回戦(ZOZOマリン)で決勝の3号3ランを放った。2-2で迎えた7回2死一、三塁から、右翼席への110メートル弾。新人で唯一の開幕1軍入りも、8月には2軍落ちする屈辱を味わった。再昇格後は5試合で6安打3打点、打率3割3分3厘と結果を残し、この日はチームの連敗を3で止めた。

 石井一が、好機をものにした。7回だ。2死一、三塁、カウントは1ボール。140キロ内角直球を振り抜いた。打球は右翼へと伸び、ポール際に吸い込まれた。7月1日、同じZOZOマリンでのロッテ戦以来の今季3号。ダイヤモンドを1周し、走者のレアード、清水とともにベンチに戻ると、手荒い祝福が待っていた。チームメートから次々に、頭をたたかれた。目深にかぶるヘルメットの下は、笑顔。「自分でもびっくりでした。まずは後ろにつなぐことを考えた」。仕事を果たせた充実感をかみしめた。

 開幕1軍をつかみ、4月は二塁で17試合に先発出場。5月に昨季フル出場の遊撃手、中島が負傷離脱してからは、遊撃を任されることも増えた。だが、チャンスは重荷でもあった。試合に出続ける中、打撃も守備も納得がいかない。反省、練習、試合の繰り返し。気持ちを切り替えられず、鎌ケ谷でリハビリ中の中島に「キツイっす」と弱音も吐いた。余裕がないから札幌の寮にこもりがちで「(札幌の地理が)まだ全然わからない」。体調不良にも陥る悪循環で、打率は1割台に低迷。83試合出場後の8月7日、ついに出場選手登録を抹消された。

 2月のキャンプも1軍に同行した期待の新人が、初めて味わった2軍落ち。だが、その3週間を無駄にしなかった。「上に上がって結果を残すことだけを考えてやってきた」。再昇格後は、バットにも思いが込もった。4月14日楽天戦のプロ1号ソロも、前回ロッテ戦の2号3ランも、敗戦の中での1発。この日は「勝利につながったことはうれしい」と、表情をほころばせた。

 栗山監督の信頼も高まった。「(1軍に)帰って来てから石井らしさが出ている。もともと能力があると思ってやっている」。チームの連敗を3で止めた当人も、前向きな言葉が口をついた。「1試合1試合、勉強。練習をしっかりしながら試合で結果を残せたら」。再び中島は離脱した。残るシーズン、石井の存在感は増していく。【保坂果那】

 ◆日本ハム石井一の今季成績 出場88試合(先発75試合=二塁46試合、遊撃29試合)230打数42安打(3二塁打、2三塁打、3本塁打)18打点、78三振、20四球1死球、9犠打1犠飛、2盗塁4盗塁死、6併殺打、打率1割8分3厘。

<石井一のプロ3発>

 ◆1号 4月14日楽天戦(Koboパーク宮城)2回2死、楽天釜田から左翼に先制の110メートルソロ。試合は2-3で逆転負け。

 ◆2号 7月1日ロッテ戦(ZOZOマリン)で、0-7とリードされていた7回無死一、二塁、ロッテ唐川から右翼に110メートル3ラン。試合は3-7で敗れる。

 ◆3号 9月3日ロッテ戦(ZOZOマリン)で2-2の7回2死一、三塁、ロッテ二木から勝ち越しとなる3点本塁打(110メートル)を右翼に放つ。