持ち味の足で球団史に名を刻んだ。西武源田が7回1死一塁から、今季5本目のバント安打を決め、81年に石毛宏典がマークした球団の新人安打記録127本に並んだ。初球を捕手前に転がし一塁を駆け抜け「(セーフティーバントの)サインが出ていたので。僕らしくていいんじゃないかな、と。偉大な先輩に追いつくことが出来てすごくうれしい」と笑顔を見せた。

 同点に追いつかれた直後の勝ち越しにつなげる貴重なヒット。「サインが出ていなくても、ちょっと考えていたので準備は出来ていた」とうなずいた。相手の松永との対戦成績は、ここまで5打数1安打。相性が良くない投手の打開策を考えていたからこそ、勝負どころで落ち着いて臨めた。

 現在も打撃の状態は納得いくものではない。8月24日のソフトバンク戦前。ぽつりと言った。「野球って難しいです」。ルーキーながら開幕戦からフル出場。壁にもぶつかった。コーチ陣の助言に助けられながらも「自分で考えてやらないと、本当の力はつかない」と正面から向き合った。

 127安打に「ビックリです」と初々しく笑いながら「まだ試合がある。全部勝つくらいの気持ちで臨みたい」と引き締めた。盗塁数はリーグ2位。タイトル奪取も視野に入る。立ち止まることなく、突っ走る。【佐竹実】