ソフトバンクがリーグ王者の座を奪回した。2年ぶりの栄冠。パ・リーグ18度目、1リーグ時代を含めると20度目のリーグV。工藤監督が歓喜の輪の中でナインに身をゆだねた。

 補強と育成。まさに両輪を追いかけ、実現した独走Vだ。

 2月春季キャンプでA組41選手のうち、初選出が13選手もいた。外国人をのぞく投手陣18人の平均年齢は24・6歳というフレッシュさ。A組4捕手(斐紹、甲斐、栗原、張本)もほとんど1軍経験がなかった。若き芽は、花開いていった。東浜がチーム勝ち頭に立つほど成長。昨年支配下登録された石川はシーズン終盤に欠かせぬ存在となった。捕手では、育成ドラフトで入団した甲斐が、強肩を武器に台頭した。

 補強面でもアッと言わせてきた。2月11日に前ロッテのデスパイネ獲得を発表。工藤監督が「本塁打を打ってほしい」と期待を寄せた通りチームトップで30発を記録し、柳田、内川とデスパイネを軸にした打線は、相手投手を震え上がらせてきた。

 シーズン開幕翌日の4月1日には、カブスを退団していた川崎の入団会見が行われた。世界をとりこにしたムネリンの復帰に地元福岡の鷹党も大喜びだった。

 そして何よりも救援陣がフル回転した。岩崎、森、嘉弥真、五十嵐、モイネロといった豊富なタレントが先発投手をサポート。そこに守護神サファテが前人未到の50セーブを達成する活躍でチームをまとめ上げた。

 昨年は日本ハムの猛追にあい、最大11・5ゲーム差を逆転されてのV逸だった。だが、今季は夏場から失速するどころか、一気に突き放し、独走態勢に突入した。

 工藤監督は今春キャンプを迎える直前の必勝祈願でファンに約束した。「1(ワン)ダホー! のスローガンのもと、心ひとつに、チームをひとつに日本一奪還」と。次の目標は、もちろん日本一だ。