79、80年に広島監督として球団初の連覇に導いた古葉竹識氏(81=東京国際大名誉監督)が緒方カープを祝福し、「日本一を取ってほしい」とエールを送った。名将が語る37年前との共通点、強さの秘密とは-。

  ◇  ◇  ◇

 37年前の歓喜は80年10月17日。阪神に快勝し、広島に戻る新幹線の中で吉報が入った。広島駅の改札口には大勢のファン。もみくちゃになって「おめでとう」の大合唱を浴びた。

 現在との共通点は熱いファンだけではない。「1番から3番までが走れて、中軸でかえせる」。田中、菊池、丸と機動力のある上位打線と得点力抜群のクリーンアップ。80年も機動力を生かし、失点してもそれ以上の得点力を誇った。「何もサインを出さなくても、次の塁を狙える。手でサインを出さなくとも目配せでね」。中軸の山本も衣笠も、フリーでよく走った。まさに、あうんの呼吸。夏場も失速なく、走り続けた。

 連覇へ、厳しい練習を課した。練習量は今と同等か、それ以上だったという。「何も言わなくともキャンプインには体を作ってきた。山本浩二も衣笠も4、5日後には試合に出られた」。1年間戦い抜くためには練習する環境が必要。オーナーに直訴し、日南天福球場の雨天練習場建設にこぎつけたのは誇りでもある。

 都内に住む現在も、広島の戦いを見守っている。「日本一になりたいと思っているはず。昨年は悔しくて何としても、と。必ず1つになって日本一を取ってほしい」。最後に名将の口調が熱くなった。【宮崎えり子】

 ◆セ・リーグの連覇 巨人以外の連覇は10、11年中日以来。巨人以外に連覇を2度記録した球団は広島が初めてになる。緒方監督は現役時代に外野手だったが、外野手出身監督の連覇は10、11年のソフトバンク秋山監督以来2人目で、セでは初めて。