CSも任せろ! 広島中村祐太投手(22)が、クライマックスシリーズ進出を狙う巨人を7回3安打無失点に抑えた。立ち上がりは走者を出す投球が続いたが、自己最長タイの投球回を投げ切った。今季、巨人と4度目の対戦で初勝利を挙げ、5勝目。残りの登板機会が少なくなる中、この日の好投でポストシーズンの先発枠争いに名乗りを上げた。

 マウンド上の中村祐は1人、優勝決定後の調整試合ではなく、ポストシーズンをイメージしていた。3位争いで必死の巨人は、格好の相手だった。4回まで2度先頭打者の出塁を許し、4四球と毎回走者を許した。それでも打者の手元で動く癖のある直球、スライダーにフォーク、それに緩いカーブを交えて切り抜けた。自己最長タイとなる7回までスコアボードに「0」を並べた。

 「最初から全力で行って、長いイニングを投げられたのは自信にしたい」

 先発生き残りへ、もう後がなかった。前回までは長い回を投げようと知らぬ間にペース配分してしまっていた。腕の振りも弱くなり、痛打される悪循環。この日は立ち上がりから飛ばした。さらに「腕を振るのですが、振りすぎない」という感覚に改良したフォークもさえ、6三振を奪った。

 登板ごとの課題を明確にし、確実につぶしてきた。「完璧な投球はない。満足した時点で成長を止めてしまう」。昨季までは1試合の結果に一喜一憂した。上積みがなかった。だが、昨季途中から登板後に映像で確認し、ノートにも書き記してきた。目と頭をフル稼働。常に前進はなくても、着実に前に進んでいった。

 今季初勝利から積み重ねた勝ち星は5勝目となった。ただ、ゴールではない。「やっぱりCSで投げたい。そこを意識して投げた。首脳陣の方が決めることですが、自分はそこに向けて準備したい」。右腕の目はクライマックスシリーズのマウンドを捉えている。

 22歳の好投に緒方監督も目を細めた。「(ポストシーズン先発候補の)そのうちの1人かな。今回の(投球)でCSどうのこうのというのは言わない。まだ他にも勝っている投手、能力のある投手はいるわけだから」。ポストシーズンの先発枠争いはまだ続くが、指揮官の頭には中村祐の名がしっかりと刻まれたに違いない。【前原淳】