宮城・東松島市を拠点に活動する中学女子軟式野球チーム「宮城デイジーズ」が、8月に行われた第15回全日本女子軟式野球学生選手権中高生の部で、初出場で初優勝した。チームのスローガンは「常笑軍団」。庄司美空主将(3年)を中心に、劣勢の時こそ笑顔で前向きに戦う姿勢を貫いて頂点に立った。それぞれが野球に対する熱い情熱を持ち、目標に向かって日々努力を続けている。

 結成2年目で快挙を達成した。15年のNPBガールズトーナメントで3位に輝いた女子小学生選抜チーム「オール宮城ブルーリボン」の選手(現中学2年生)9人で16年春にスタート。その後、すでに中学で軟式野球部やリトルリーグに所属していた現3年生4人も入部し、現在は14人が在籍している。活動は主に週末だが、選手たちはそれぞれ学校で軟式野球部にも所属している。土日は中学軟式野球部と練習試合を行い、男子を相手に腕を磨いた。浅野和弘監督(43)は「男子のスピードやパワーに慣れていたことで、高校生チーム相手にも気後れせず戦えた。『このメンバーで日本一になりたい』と立ち上がったチーム。1人1人が自分の仕事をして、辛抱強く戦ってくれた」と目を細めた。

 大黒柱はエース右腕小野寺佳奈(3年)。「決勝はきつかったけど、ここまできたら優勝しかないと思って気力で投げた」と初戦から4連投で大車輪の活躍を見せた。仙台育英(宮城)の記録員として今夏甲子園8強に貢献した兄航希さん(3年)に憧れて、小学2年で野球を始めた。七ケ浜中でも軟式野球部に所属し、男子生徒の中でもエースで3番を務めるなど、中心選手として活躍。最速115キロを誇る直球が武器で、今大会も4試合で6失点と抜群の安定感で優勝へ導いた。好きな漫画は「ダイヤのA(エース)」と根っからの野球女子は「夢は女子プロ野球選手。女子の最速記録を更新する」と高校でも硬式野球に打ち込む。

 主将の庄司も熱い思いを抱く。夢は「甲子園球場でプレーする」こと。小学2年から野球を始め、当時の駒大苫小牧・田中将大(現ニューヨーク・ヤンキース)の甲子園での戦いを見て憧れを抱いた。遊撃手を務め、「一番好きなのは併殺プレー。ランナーが出ればチャンスだと思って常に狙っている」と言う。庄司は「なんで女子は甲子園で野球が出来ないのかな? と思う。自分が実力を付けて、いつか絶対に甲子園でプレーする」と夢を思い描く。

 新チームは1、2年生10人のみ。中心として期待される高橋友結捕手(2年)は「声掛けや礼儀、あいさつなど先輩たちは野球以外の部分もしっかりしていた。1球1球、一生懸命追いかけてまた日本一になる」と来夏の2連覇を目指す。それぞれの夢に向かい、これからも少女たちは白球を追い続ける。【林野智】