3位が決まっている楽天がレギュラーシーズン最終戦を白星で飾り、14日から始まるクライマックスシリーズ(CS)に弾みをつけた。10日のロッテ戦は、4投手の無失点リレーで5-0と快勝。試合後、梨田昌孝監督(64)は2位西武とのCSファーストステージ(メットライフドーム)の第1戦に則本昂大(26)、第2戦に岸孝之(32)を先発させることを明言。2枚看板で下克上を起こす。

 4年ぶりの優勝はならなかった。CS本拠地開催もかなわなかった。それでもKoboパーク宮城には、楽天のレギュラーシーズン最終戦勝利を信じた2万379人のファンが駆け付けた。梨田監督が心底喜んだ。「平日のデーゲームに、2万人以上も来てくれて感謝している」。試合後は監督、コーチ、選手たちがグラウンドを1周。サインボールをスタンドに投げ込み、日本一への道のりとなるCSへ闘志を新たにした。

 ファンの期待に応える快勝の中、CSを見据えた細かい野球を駆使した。初回に先頭の茂木が三塁打を放つと、2番藤田が初球をスクイズ。わずか4球で先制。梨田監督は「なかなかそういうチャンスはあるようでない。今日は思い切って。藤田だから安心していけた」とうなずいた。3回には2死から内野安打で出塁した5番島内がディレードスチール。アウトになったが、得点圏に走者を進め、1点を取ることにこだわった。

 1勝が大きく命運を左右する短期決戦のCS。2戦先勝方式の西武戦に、梨田監督は「1戦目は則本。2戦目は岸ということで臨んでいきたい」と両右腕に託すことを明言した。その岸は先発したこの日、調整登板。2回無失点で締めた。CSに向けては「シーズン中も言ったけど走者をためて、ホームランを気を付ければゲームはつくれると思う」と話した。

 10年にロッテが3位から日本一になった。7年前の下克上再現は、今年3位の楽天にチャンスが訪れた。梨田監督は「下から行く方が気持ち的に楽。意地を見せたいね」と言った。失うものがないからこそ、精神面で優位に立てる。「梨田楽天」の逆襲が、14日に幕を開ける。【久野朗】