巨人が、実りの秋にキーマンを徹底的に育てる。高橋監督が18日、小林を秋季キャンプの主将に指名した。「年齢的にも上だし、今年は一応レギュラーだったからね。世界を、じゃなくて日本を騒がせた男だからな(笑い)。自覚を持たせる意味もある」と説明した。

 役職が成長を促した好例がある。95年秋季キャンプで、入団3年目の松井秀喜は長嶋監督から主将に指名された。翌年は自身初の打率3割、38本塁打99打点でセ・リーグMVPと飛躍した。秋の集中鍛錬で「メークドラマ」のリーグ優勝にも導く大打者に成長した。

 28歳の小林も、扇の要として強い自覚を持つ。「中井もいるし、僕らの代でしっかりやらないといけない。(菅野)智之があれだけの選手なので、もっと頑張らないと」と危機感を訴えた。期間中は年下の選手をまとめる気配りと同時に、自身の打力向上を重要な課題に挙げる。「打たないといけない。いっぱい振る中で、量だけでなく自分を追い込んで、実になることをやる」と考えを明かした。

 既に、秋季練習では居残り特打に着手中。ノックバットを使った手上げのティー打撃、ロングティーなどで課題克服に挑む。新たな重責を担う小林が攻守の要に成長した時、巨人のV奪還が現実味を帯びる。【松本岳志】