みちのくに剛腕あり。仙台大(仙台6大学)の馬場皐輔(4年=仙台育英)は、右上手から投げ込む最速155キロ速球に加え、7種類の変化球を巧みに操る。今秋のリーグ戦では3完封を含む無傷の5連勝。計37回を2失点、防御率0・49と圧倒的な数字をたたき出し、2季ぶり優勝の原動力となった。プロ10球団以上から調査書が届いており、ドラフト上位候補として運命の日を待つ。

 「みちのくのドクターK」こと馬場には、貫禄が漂っていた。180センチ、90キロの体格から投げ込む剛速球に7種類の変化球を織り交ぜれば、相手のバットはかすりもしない。

 馬場 12球団どこでも行く。仙台育英(宮城)で同期だったソフトバンク上林(誠知外野手=22)と対戦してみたい。刺激になる。

 今春は粗削りな投球で優勝を逃したが、今秋は別人の投球を見せた。先発5試合で37回を投げ、被安打はわずかに15で2失点、60三振を奪った。奪三振率は驚異の14・6をたたき出し、36回連続無失点をマークした。「この秋は縦のスライダーでカウントを取れるようになって、投球の幅が広がった」と胸を張る。

 仙台大のコーチで元ロッテの坪井俊樹氏(31)からの助言で飛躍した。今夏、「どの球も一級品なんだから、ベースの上で勝負しろ」と指摘された。最速155キロの剛速球が注目されがちだが、実は変化球が生命線だ。縦に落ちる球種だけでも120キロ台のフォーク、130キロ台の縦のスライダー、140キロ台のスプリットの3種類を駆使する。

 制球力は決して良くなかったが、今夏はどの変化球でもカウントが取れるように再点検した。両肩の平行を維持して投球フォームを固め、1球1球確認してコースに投げ込み、自在に操れるまでに精度を高めた。「試合で100球投げるとしたら、変化球は70球ぐらい。自分は変化球投手だと思っている」と自己分析した。

 明治神宮大会出場(11月10日開幕)を決める東北地区大学野球代表決定戦が今日21日から2日間、岩手で行われる。「少しのミスが失点につながる。チームが勝つのであれば先発、抑え、どこでも投げる」。仙台大にとっては初となる明治神宮切符を手土産に、プロへ挑戦する。【高橋洋平】

 ◆馬場皐輔(ばば・こうすけ)1995年(平7)5月18日、宮城・塩釜市生まれ。塩釜三小3年から野球を始め、塩釜三中では七ケ浜シニアに所属。仙台育英では2年秋からベンチ入りし、3年春、夏の甲子園出場。仙台大で1年春から先発し、リーグ通算15勝5敗。180センチ、90キロ。右投げ右打ち。家族は両親と妹2人。