阪神金本知憲監督(49)が中谷将大外野手(24)の打撃大改造プランを明かした。今季は生え抜きの右打者として、06年浜中以来となる20本塁打を記録。指揮官はさらなる飛躍の余地を感じている。「伸びしろはあるよ。彼次第です」。ラッキーゾーンを撤去した92年以降は、同条件で30発に到達した選手はいない。前人未到の記録に挑戦すべく、今秋から本格的に取り組んでいく。

 中谷よ、本気でアーチストを目指せ! 金本監督が今季20本塁打を放った若虎の打撃大改造プランをぶち上げた。「彼は技術面。テークバック、ステップの間を取る。自分が突っ込んでいくところにボールが来たら、ホームランにできる。ちゃんと1回止まって打ちなさい、というね」。振る力は備わっているだけに、秋季キャンプでは技術の向上に時間を割くことになる。

 生え抜きの右打者では06年浜中以来となる20本塁打を記録したが、指揮官はまだまだ成長できると感じている。今季描いたアーチの多くは変化球を打ってのもの。その一方で、速球への対応に苦慮した。この課題を克服できなければ、相手投手の攻め方が厳しくなる来季は打てなくなる。金本監督はシーズン中から、そんな危惧を抱いていた。意識付けはすでに開始している。フェニックス・リーグ参加中の中谷は「そこを考えながら、やっていました。シーズン中も言われていたので。意識して継続してやっていきたい」と言う。

 技術面だけでなく、精神面でも、金本監督は「カツ」を入れていた。シーズン中の裏話を明かした。「伸びしろはあるよ。彼次第です。どこまで真剣に取り組むか。1回、説教したからね。『こっちが本気になっているのに、お前が本気にならんとどうするんや!』と」。自分の能力を開花させようとしない姿に怒った。そこから本人も本気に取り組み始めたという。

 守備位置に関しては、三塁コンバート案も過去には浮上したが、来季は外野を中心に起用する方向だ。金本監督は今後の見通しを語った。「(三塁は)もうないね。外野であれだけのプレーを見せてくれたし、誰かいない時に一塁。後は打撃に専念した方がいい」。中谷や大山が主軸で飛躍を見せれば、打線の厚みが増す。和製大砲としての素材は指揮官も認めるところ。ラッキーゾーンを撤去した92年以降は、生え抜きの右打者で30本塁打に到達した選手はいない。真のアーチストへ、中谷の改造計画が本格化する。【田口真一郎】

 ▼阪神打者の年間30本塁打以上は、10年ブラゼル(左打ち)の47本塁打が最後。近年の日本人では、金本知憲(前広島、左打ち)が04年34本、05年40本、07年31本。生え抜き右打者のシーズン30本塁打以上となると、85年岡田彰布35本までさかのぼる。